トランク リッド モジュール

トランク リッドのオートマチック オープンおよびクローズ

機能

トランク リッドのオートマチック オープンおよびクローズはトランク リッド モジュール と ZKE ３のジェネラル モジュールによって制御されます。

トランク リッドは、ハイドロリック ポンプと 2 個のハイドロリック シリンダーから成るハイドロリック システムにより開閉されます。 油圧制御は、トランク リッド モジュールにより行われます。

ハイドロリック システムの他に、トランク リッドにはソフト クローズ オートマチック(E38 に標準装備)と電動トランク リッド ロック解除(E39に標準装備)が取り付けられています。 このコンポーネントの制御は、ZKE 3 のジェネラル モジュールにより行われます。

ジェネラル モジュールとトランク リッド モジュールは K バスで相互に接続されています。

トランク リッド オープン時の手順

• 操作スイッチを押します。
  
• ZKE 3 のジェネラル モジュールがトランク リッド オープンのコマンドを得ます。 すると、ソフト クローズ オートマチック用モーターとトランク リッド ロック解除用モーターが作動します。 トランク リッドのロータリー ストライカーが開き、ロック部が上方へ回転します。
  
• トランク リッド コンタクトは「トランク リッド オープン」の信号をジェネラル モジュールへ送ります。 この信号は K バスを介してさらにトランク リッド モジュールへ伝えられます。
  
• トランク リッド モジュールが油圧バルブとハイドロリック ポンプに通電します。 トランク リッドがハイドロリック シリンダーにより開きます。
  

トランク リッド クローズの手順

• 操作スイッチを押します。
  
• トランク リッド モジュールが油圧バルブとハイドロリック ポンプに通電します。 トランク リッドがハイドロリック シリンダーにより閉まります。
  
• トランク リッドの傾斜センサーにより、トランク リッド モジュールはトランク リッドのオープン角度を検出します。
  
• オープン角度が 8 ^o以下の場合は、ハイドロリック ポンプがオフになって油圧バルブが開きます。 これでトランク リッドが閉じます。
  
• トランク リッド コンタクトは ZKE 3 のジェネラル モジュールへ「トランク リッド クローズ」の信号を送ります。
  
• ジェネラル モジュールは、ソフト クローズ オートマチック用モーターを作動させます。 トランク リッドのロック部が下へ回り、トランク リッドが閉まります。
  

操作スイッチ

トランク リッド オープン/クローズの操作は、3 種類のスイッチで行うことができます。

• トランク リッド クローズ シリンダーの操作スイッチ
  トランク リッドのクローズ シリンダーを押すことで、トランク リッドを開閉することができます。
  このスイッチはトランク リッド モジュールと ZKE 3 のジェネラル モジュールの両方に接続されています。
  
• トランク リッド内側の操作スイッチ
  このスイッチを押すことで、トランク リッドを開閉することができます。
  スイッチはトランク リッド モジュールにのみ接続されています。 スイッチの信号が ZKE 3 のジェネラル モジュールへ伝わらず、ロータリー ストライカーがロック解除されないと、閉じたトランク リッドをこのスイッチで開けることはできません。
  
• 車内操作スイッチ
  このスイッチ(取付け位置は運転席側 A ピラー)を押すことで、トランク リッドのロック解除とオープンを行うことができます。 トランク リッドのクローズは行えません。
  このスイッチは ZKE 3 のジェネラル モジュールにのみ接続されています。 信号は K バスを介してトランク リッド モジュールに送られます。
  

すべての操作スイッチは、グラウンド接続されます。

スイッチが短時間だけ押されると、トランク リッドは全開するか(すべてのスイッチの場合)、全閉します(トランク リッド スイッチの場合のみ)。

トランク リッドが動いているときは、再度操作スイッチを押すと止まります。

無線リモート コントロール

トランク リッドは、無線リモート コントロールでも開けることができます。

トランク リッドのシンボルが付いているキー スイッチを短時間押すと、トランク リッド オープンが作動します。 スイッチをもう一度押すと、トランク リッドは途中で止まります。

無線リモート コントロールによってトランク リッドを閉めることができるのは、98 年 9 月生産以降の車両のみです(診断システム - コーディング データの表示を参照)。

トランク リッドを閉じるためには、無線キーのスイッチを継続して操作しなければなりません。

傾斜センサー

オープン角度を識別するために、トランク リッドには 2 個のスイッチの付いた傾斜センサーが取り付けられています。

傾斜センサーは、ホール センサーです。

以下のオープン角度が検出されます：

傾斜センサーの信号は、診断プログラム(傾斜センサーまたは診断の読出しのテスト モジュール)で点検することができます。

操作に対する傾斜の影響

トランクリッドの傾きによって、トランクリッドの動く方向（オープンまたはクローズ）がトランクリッドのスイッチ操作（内側または外側）に応じて制御されます。

オープン角度が 8^o以上では、トランク リッドの動きがスイッチを押すことで停止し、新たにスイッチを押すと再作動しますが、動く方向が変わります。

ハイドロリック システム

部品構成

ハイドロリック システムは、以下のコンポーネントで構成されています：

• ハイドロリック ユニット
  ハイドロリック ポンプ、切換えバルブ(E38 モデルのみ)、圧力リミット バルブが含まれています。
  
• 油圧ライン
  ハイドロリック ユニットとハイドロリック シリンダー間の接続
  
• ハイドロリック シリンダー
  トランク リッドの左右
  

システムは最高圧力 100 bar で作動します。

ハイドロリック システムはメインテナンス フリーで、セルフ エア抜きを行います。

ヒント

ハイドロリック システムに関する作業を行う場合は、必ずリペア マニュアルに従ってください。

ハイドロリック ポンプ

ハイドロリック ポンプはトランク リッド モジュールにより、「トランク リッド オープン」と「トランク リッド クローズ」の回転方向に制御されます。

トランク リッド モジュールに取り付けられた 2 個のリレーを介して通電されます。

リピート ロック(アレスト)がハイドロリック ポンプの過熱を防止します。 ポンプが短時間の内に 2 分以上作動した場合、ポンプは約 6 分間オフになります。

切換えバルブ

切換えバルブはハイドロリック ポンプとハイドロリック シリンダー間の油圧を一定にします。 切換えバルブはトランク リッド モジュールから通電され、開閉します。

切換えバルブが通電されると(バルブ閉)と、ハイドロリック シリンダー内に可能な最高圧力が形成されます。

切換えバルブが通電されないと(バルブ開)と、ハイドロリック シリンダー内には低い圧力しか形成されません。

トランク リッド オープンの際、 切換えバルブはオープン全領域で閉じています。 トランク リッドは可能な最高圧力で開きます。

一方、 トランク リッド クローズの際は、 E38 モデルの車両においては、切換えバルブとハイドロリック ポンプがトランク リッドのオープン角度に応じて、トランク リッド モジュールにより切り換わります。

• トランク リッドが 50^o以下でオープン：
  ハイドロリック ポンプは、トランク リッド クローズの回転方向へ作動します。
  切換えバルブが通電されます(バルブ閉)。
  トランク リッドが可能最高油圧で閉じます。
  
• トランク リッドが50^oから 8 ^o でオープン：
  ハイドロリック ポンプは、トランク リッド クローズの回転方向へ作動します。
  切換えバルブは通電されません(バルブ開)。
  ハイドロリック シリンダーには、わずかな圧力しか形成されません。 トランク リッドが弱く閉まります。
  
• トランク リッドが 8^o以下でオープン：
  ハイドロリック ポンプがオフになります。
  切換えバルブは通電されません(バルブ開)。
  トランク リッドは自重でロックへ落ちます。
  

トランク リッドのオープン角度の検出は、傾斜センサーが行います。

E39 モデルのためのヒント

E39 モデルの車両のハイドロリック ユニットには、切り換えバルブはありません。 トランク リッドを閉じる際には、ハイドロリック ポンプはトランク リッド コンタクトがトランク リッド クローズの信号を発信するまで作動しています。

圧力リミット バルブ

圧力リミット バルブはハイドロリック ユニットに取り付けられていて、ハイドロリック シリンダーの可能最高圧力を制限します。

トランク リッド オープンのとき圧力は最高 100 bar 、トランク リッド クローズのときは最高 60 bar に制限されます。

エマージェンシー作動

システムが不具合の場合は、トランク リッドをわずかな力で手動開閉することができます。

その他、ハイドロリック ユニットにはエマージェンシー バルブが取り付けられていて、システムが不具合のときにはこのバルブが、40 bar のシステム プレッシャーを確保し、トランク リッドの緩衝を保証します。