ナビゲーション システム用ホィール キャリブレーション

 

一般事項

ホィール キャリブレーションではホィールの回転円周値が測定され、ナビゲーション システムによってメモリーされます。

重要!

片側または両側のフロント ホィールを交換した場合は、必ずホィール キャリブレーションを行う必要があります。

システムのキャリブレーションを行わなかった場合または正常でない場合は、次の不具合が発生することがあります:

 

ホィール キャリブレーションは 2 つの方法で行うことができます:

原則として「測定によるキャリブレーション」を行います。この方法で正しくキャリブレーションを行った場合にのみ、タイア回転円周値を正確に検知することができます。

「タイア サイズによるインプット」による手順は顧客の協力が前提条件となり、インプット後に顧客が比較的長い期間に渡って値を修正する(微調整)必要があります。

以下にこの 2 つの手順を説明します。

測定によるキャリブレーション

ワークショップ キャリブレーション

この方法ではタイア回転円周値を正確に測定することができます。

ホィール キャリブレーションには次の補助ツールが必要です:

重要!

ホィール キャリブレーションの前には、顧客の苦情に基づいてセンサー テストおよび診断を行います。

 

準備作業

 

 

GRRA6500-92

リア牽引フック用カバーを取り外します。スペシャルツール 00 9 280 を牽引フックに差し込み、テレスコープ バー 00 9 200 をスペシャル ツールのボアに挿入して固定します。

 

 

キャリブレーションの手順

GRRA6500-94

第 1 ステップ

車両にパーキング ブレーキをかけて動かない状態にします!テレスコープ バーを引き伸ばし、始点を地面にマークします。

 

第 2 ステップ

車両のイグニッションをオンにしてオンボード モニターにキャリブレーション メニューを呼び出します。このときの手順は次の通りです:

オンボード モニターにヒントが表示され、「次へ」でキャリブレーション メニューに替わります。

 

第 3 ステップ

モニターで「開始」を入力し、歩行速度(1 km/h 以上)で 6 〜 8 メートル、前方へ走行します。次の項目に注意します:

約 6 〜 8 メートル走行した後、ブレーキをかけ、直ちにパーキング ブレーキを作動させてギアをニュートラルにします。オンボード モニターで「停止」を入力します。

 

GRRA6500-93

第 4 ステップ

終点をマークして、始点マークと終点マークの間の走行距離を巻尺で 1 cm 単位で正確に測定します。

測定した走行距離をオンボード モニターに入力します。

 

第 5 ステップ

走行距離を入力した後は約 100 m 直進走行します。ステアリング ホィールを動かさないこと!

走行距離が短すぎた場合、またはステアリング ホィールが動きすぎた場合は注意が表示されます。

 

走行後はホィール キャリブレーションが終了しているので、「キャリブレーション終了」を選んで終了します。

 

重要!

次の場合はホィール キャリブレーションの際に頻繁に不具合が発生します。

注意!

停止および発進時、車両はホィール センサーに必要な約 1 km/h の最低車速を短時間下回ります。このとき車両が進んだ距離はナビゲーション システムに検知されません。

したがってブレーキをかけずにスムーズにテスト距離を走行することが肝心です。

 

測定値のプリント アウト

キャリブレーション後は計算されたキャリブレーション値(回転ごとのパルス)を BMW DIS に表示し、プリント アウトします。

プリントアウトは「サービス機能」-「ホィール回転数センサー(ABS センサー)のキャリブレーション データの読み出し」で実行できます。

走行中この値は変化しません。

プリント アウトは、顧客からのクレームの際に顧客自身がキャリブレーション値を変更したことの証拠としてワークショップで役立ちます。

タイア サイズのインプットによるキャリブレーション

顧客によるキャリブレーション

これは、技術的な経験が豊富で自らホィール/タイア交換をよく行う顧客にホィール キャリブレーションを行ってもらう方法です。

システム内に保存されている各タイア型式用のタイア回転円周値は、基準データと照らし合わせた規定値にすぎません。

車両に取り付けられているホィールの実際の回転円周値と規定値との間には偏差があることが多いので、必ず微調整が必要です。

タイア サイズのインプット

以下に記載した手順は停止状態でのみ可能です。

微調整

ナビゲーション システムを作動させて走行している間に、連続してメートル表示に偏差が認められる場合は、キャリブレーション値を修正することができます。

続いて規定の偏差に基づいたメートル表示になっているかを新たに点検します。

ヒント

メモリーされている地図上でのメートル表示が正確でないために、表示された距離と実際の距離の間には常に偏差が存在します。したがって、調整によって以前より正確になったのかどうかを確認するには、比較的長い期間に渡って微調整の前後で表示を観察する必要があります。

ワークショップ キャリブレーションは顧客によるキャリブレーションによって書き換えられてしまいます。

 

この点を顧客によく説明してください!