マルチファンクションステアリングホィール(MFL)
マルチファンクションステアリングホィール(MFL)によって、ドライバーはステアリングホィールから、以下のような多くの車両機能の操作を行うことができます:
- ラジオ機能
- 電話機能
- クルーズコントロール機能
- 内気循環機能
MFLはドライバーにすぐれた快適性だけでなく、高い安全性も提供してくれます。ドライバーはステアリングホィールから手を離すことなく、また路上の交通状況からも視線をそらさずに、MFLを使ってさまざまな機能を操作できます。
MFL操作に対する応答は非常に迅速で、フィードバックの遅れはほとんどありません。
マルチファンクションステアリングホィール(MFL)は以下のコンポーネントから構成されています:
- MFL操作パネル:拡張バージョンによって異なりますが、ステアリングホィールのエアバッグユニットの左右に、MFL機能専用のキーブロックが装備されています。
- コンタクトユニット:入力されたキー信号は、MFL操作パネルからスパイラルケーブルを経由してMFLコントロールユニットに送信されます。
- MFLコントロールユニット:MFL操作パネルが受け取ったラジオ、電話、内気循環操作の信号は、インフォメーションバス(Iバス)を通ってそれぞれのコントロールユニットに伝送されます。クルーズコントロール操作のためのキー信号は、専用の接続ケーブルを通ってクルーズコントロールに送られます。
重要!
マルチファンクションステアリングホィール(MFL)を使用してラジオ、電話、または内気循環の操作を行う場合に限って、MFLコントロールユニットを取り付けます。
重要!
MFL操作パネルからクルーズコントロール機能のみの操作を行う場合には、MFLコントロールユニットは取り付けません。クルーズコントロール操作の信号は、MFL操作パネルからクルーズコントロールに直接転送されます
。したがってこの仕様には診断機能はありません。
作動中MFLコントロールユニットは、入力用キーと電源電圧をモニターします。さらに、安全上重要な機能(クルーズコントロール機能など)の場合は、MFLと処理を行うコントロールユニットとを結ぶ接続ケーブルをつねに点検しなければなりません。これらの信号に作動異常が生じた場合には、ディフェクトメモリーに登録されます。診断はIバスを介して行います。
注意事項
MFLコントロールユニットは、インフォメーションバス(Iバス)と接続されています。したがって、DISとMFLコントロールユニットの間の診断用配線接続には、診断ケーブルだけでなくIバスも接続されています。診断できない場合には、診断コネクターとメーターパネルエレクトロニクス(IKE)との間の診断ケーブルに加え、さらにIバスケーブル(IKEとMFLの間)も点検します。
MFLコントロールユニットのないMFL操作パネルを取り付けてある場合には、安全上重要な接続ケーブルの点検は、接続されているコントロールユニットを使用して行います(クルーズコントロール機能など)。
バージョン
マルチファンクションステアリングホィール(MFL)には以下のようなバージョンがあります:
MFLコントロールユニット付き
バージョン:
バージョン
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キーブロック 左
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キーブロック 右
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1
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ラジオ、電話
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クルーズコントロール、内気循環
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2
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ラジオ、電話
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内気循環
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3
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ラジオ、内気循環
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なし
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4
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ラジオ
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クルーズコントロール、内気循環
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MFLコントロールユニットなし
バージョン:
バージョン
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キーブロック 左
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キーブロック 右
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5
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なし
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クルーズコントロール
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重要!
バージョン5(クルーズコントロールのみ)では、MFLコントロールユニットが取り付けられていません。
クルーズコントロール操作のためのキー信号は、MFL操作パネルから、直接
クルーズコントロールに転送されます。したがってこのバージョンには診断機能がありません。
クルーズコントロール操作
ステアリングホィールの右側に、クルーズコントロール操作のためのキーブロックがあります。上から下に向かってキーの説明をします:
- 復帰(リジューム)
:車両は一番最後に記憶した速度まで加速、あるいは減速し、この速度を維持します。
- 加速
:短く押すたびに、1km/hずつ加速します。キーを押し続けると、キーから手を離すまで加速を続けます。
- 減速
:短く押すたびに、1km/hずつ減速します。キーを押し続けると、キーから手を離すまで減速を続けます。
- FGRオフ
:クルーズコントロール機能がオフになります。
ラジオ操作
ステアリングホィールの左側に、ラジオ操作のためのキーブロックがあります。上から下に向かってキーの説明をします:
- サーチ(高い方へ)
:ラジオ操作の場合は、周波数の低い方から高い方にサーチします。カセットモードにしてキーを1回押すと、順番に選曲をします。カセットモードでキーを2回押すと、カセットテープの終わりまでテープを巻き取ります。巻き取っている最中にキーを押すと、カセットプレーヤーが「プレイ」の状態になります。
- 音量+
:キーを押し続けている間、音量が大きくなります。
- 音量−
:キーを押し続けている間、音量が小さくなります。
- サーチ(低い方へ)
:ラジオ操作の場合は、周波数が高い方から低い方にサーチします。カセットモードにしてキーを1回押すと、順番に選曲をします。カセットモードでキーを2回押すと、カセットテープの先頭の部分まで巻き戻すことができます。巻き戻しの最中にキーを押すと、カセットプレーヤーが「プレイ」の状態になります。
- ラジオ/電話の切換え
:このキーを使用すると、ラジオと電話のサーチ/スクロール機能を切り換えることができます。メーターパネルには、ラジオ表示(周波数または送信局)か電話表示(電話番号または氏名)のいずれかが表示されます。
電話操作
ステアリングホィールの左側に、電話操作のためのキーブロックがあります。上から下に向かってキーの説明をします:
- スクロール(上へ)
:電話表示(電話番号または氏名)を選択します。メーターパネルに表示が出ます。
- 音量+
:キーを押し続けると音量が大きくなります。ただしこの調整は「ハンズフリー通話」をオンにした場合に限り可能です。
- 音量−
:キーを押し続けると音量を小さくできます。ただしこの調整は「ハンズフリー通話」をオンにした場合に限り可能です。
- スクロール(下へ)
:電話表示(電話番号または氏名)を選択します。メーターパネルに表示が出ます。
- ラジオ/電話の切換え
:このキーを使用すると、ラジオと電話のサーチ/スクロール機能を切り換えることができます。メーターパネルには、ラジオ表示(周波数または送信局)か電話表示(電話番号または氏名)のいずれかが表示されます。
- ハンズフリー通話
:メーターパネルに表示された電話番号をダイアルします。
内気循環操作
内気循環キーは、MFLバージョンにより異なりますが、右か左のキーブロックに取り付けてあります。内気循環機能は交互にオン、オフになります。
ディフェクトメモリー
MFLコントロールユニットの故障検知機能により、以下の故障を検知し、ディフェクトメモリーにメモリーします:
- データの中断
:MFL操作パネルとMFLコントロールユニットの間のデータケーブルが断線すると、ディフェクトメモリーに登録されます。
- 右のキー
:右側のロッカースイッチの両側(+と−)が押されていることを、MFLコントロールユニットが検知した場合には、キーユニットに故障が発生しており、この故障はディフェクトメモリーに登録されます。
- 左のキー
:左側のロッカースイッチ(+と−)が押されていることを、MFLコントロールユニットが検知した場合には、キーユニットに故障が発生しており、この故障はディフェクトメモリーに登録されます。
- ステアリングホィール電源のショート
:MFLコントロールユニットの電源電圧と、MFL操作パネルの電源電圧との差が3V以上になると、許容できない大電流がMFLステアリングホィールの中を流れます。
- EEPROM書込みエラー
:MFLコントロールユニットの不揮発性メモリー書込みの際にエラーが発生した場合には、このエラーは登録されます。