セレクター スイッチ(GWS)は、ステップトロニック モードおよびスポーツ プログラム付きオートマチック トランスミッションの走行ポジション選択のためのものです。GWS は車両のセンター コンソールの前方領域に配置されていて、専用のコントロール ユニットとして設計されています。
GWS は、機能ジオメトリ(ハウジング)と機能表示を内蔵したセレクター レバーで構成されています。スポーツ スイッチ(EDC スイッチ)は GWS に一体化されていて、単体で交換することができます。
機能表示にはセレクター レバー ポジションとは関係なく、その時点で設定された走行ポジションが表示されます。
GWS のセレクター レバー ポジションはセンサーにより接触部なしで検知され、PT-CAN を介してトランスミッション コントロール(EGS)へ転送されます。この信号はその用途に対応して、LIN バス経由での EGS への転送も行われます。
セレクター レバーの機能表示はシフト パターン表示となっていて、ポジション「P」、「R」、「N」、「D」、「M/S」があります。このシフト パターンの設定された走行ポジションの LED が点灯します。シフト パターンの表示は、EGS が運転者要求を実施して、この状態がバスを介して GWS にフィードバックされるまでは表示されません。
GWS の機能性
エンジン始動後いずれかの走行ポジションにシフトするためには、セレクター レバーを後方または前方へ押す/長押しする必要があります。セレクター レバーを軽く押したりあるいは引く操作は、ポジション「N」を選択することになるか、あるいはこのような操作にセレクター レバーは反応しません。
走行ポジション「R」にシフトするためには、ブレーキを操作した状態でさらにセレクター レバーの側方にあるロック解除スイッチ(Unlock)を押す必要があります。
走行ポジション「P」は、セレクター レバーの専用のスイッチによりシフト パターンとは切り離されています。「P」スイッチが操作されて EGS からの「P にシフト」信号が到着すると、GWS は「P」スイッチの緑の LED およびシフト パターン内のシフト ポジション用の緑の LED を点灯させます。
GWS は、オートマチック ゲート内およびステップトロニック ゲート内では単安定です、つまり操作の後はそのつど初期位置に戻ります。
ゲート切換は、双安定となっています。ポジション「D」からのマニュアル ゲート「M/S」へのゲート切換は、常時手動で行うことができます。「D」以外のポジションから「M/S」ゲートへのゲート切換はできません。
「P」スイッチが操作されるか、あるいはイグニッションのオフにより自動的に「P」にシフトされ、GWS がなおマニュアル ゲート(M/S)にあると、セレクター レバーをオートマチック ゲートの単安定初期位置にリセットするアクチュエーターが自動的に作動します。
セレクター レバーの前方のポジション「R」方向および左のポジション「M/S」方向への動きは、初期位置とロック解除スイッチ(Unlock)の状態に応じてロックまたはロック解除される必要があります。
ロックは Kl.15 により有効になり、静止状態では無効。
走行方向切換の保存機能
「D」から「R」または「R」から「D」への運転者要求
パーキング ロックの保存機能
運転者要求「P」
N 停止段階
車速が 2 km/h 以下でエンジンがオフ、ポジション「P」にシフトされたか、識別センサーが差し込まれた場合、30 分間の N 停止段階が開始されます。この間は EGS より送信された情報は維持され、表示は作動状態となり「N」の LED が点灯します。停止段階の終了時に表示が点滅し、10 秒後 EGS はポジション「P」にシフトします(AUTO P)。N 停止段階中に GWS のセレクター レバーが操作されると、その時点から再度 30 分間の N 停止段階が開始されます。