ヒーターおよびエアコンの機能

IHKA 内蔵のヒーターおよびオートマチック エア コンディショナーには以下の機能があります:

IHKA で、車室内環境を搭乗者のニーズに応じて個別に調整できます。そのためにベーシック仕様またはハイ仕様 IHKA が装備されています。車両コンポーネントと IHKA 間では、情報はデータ バス K CAN システムを通じて交換されています。

IHKA ハイ仕様のその他のオプション装備品 として、内蔵クーラー ボックス付き FKA 後席エアコン を取り付けることができます。

FKA は 2 個のシャットオフ バルブとそれぞれ 1 本のプレッシャー ラインとインテーク ラインを介して IHKA の冷却回路に接続しています。シャットオフ バルブはエバポレーター前に位置し、FKA 装備の場合にのみ取り付けられます。シャットオフ バルブは、IHKA が「FKA に取り付けられ」、コーディングされている場合にのみ、FKA によって作動させることができます。。

ヒント:コーディングIHKA が「FKA に取り付けられている」 が行なわれていないと、シャットオフ バルブは無通電状態になり、閉じたままになります。このような場合、損傷するおそれがあります。

コンポーネント簡略説明

DME デジタル モーター エレクトロニクス

デジタル モーター エレクトロニクスは、K CAN データ バスを通じて IHKA コントロールから、クーラー コンプレッサーがオンになったことを知らされます。オフ基準(クーラントが高温、キックダウン走行など)によって妨げられなければ、IHKA はクーラー コンプレッサーをオンにします。クーラー コンプレッサーがオンの場合、アイドル回転数を上げるモードとアイドル回転数上げないモードの間の切換えが可能です。

アイドル回転数が高くなるのは

アイドル回転数が高くならないのは

IHKA コントロール ユニット

IHKA コントロール ユニットは、IHKA コンポーネントの信号を感知し、ヒーターおよびエアコン プロセスをコントロール、または調節します。IHKA は、パワー モジュールにリア デフォッガーのオン、オフを切り替えさせます。リア ウィンドウ ブラインドのファイナル ステージも、同様に IHKA 内にあります。IHKA コントロール ユニットには4 種のバリエーションがあり、リア ウィンドウ ブラインド ファイナル ステージ装備と非装備のベーシック仕様および ハイ仕様 です。

LM ライト モジュール

LM ライト モジュールは、ディマーの設定およびライト ステイタス(ロー ビーム オンなど)のインフォメーションとともに IHKA に電源を供給しています。このインフォメーションに応じて、IHKA は表示灯や照明灯の輝度を制御しています。

PM パワー モジュール

パワー モジュールは、バッテリー充電状態と車両の静電流消費をモニターします。パワー モジュールは、IHKA による制御に応じてリア デフォッガーをオン、オフにします。トランク リッド ロックはパワー モジュールを介して制御されます。インフォメーションはデータ バス K-CAN 周辺機器を介して受信され、伝達されます。

操作パネルとコントロール ディスプレイ

コントロール ユニットおよびレギュレーターを備えたコントロール パネルがメーター パネル内に組み込まれています。操作パネルには最も重要な操作エレメントだけがあります。その他にも、「ハザード ライト」および「CENTERLOCK」(集中ロック)ボタンもあります。このキー操作は IHKA コントロールにより評価されません。接続はハードウェア的に行われています。

IHKA のベーシック仕様 ハイ仕様 では異なる操作パネルが使用されています。ベーシック仕様の操作パネルは、供給時OFF 機能がありません。この機能はカー&キー メモリーでコーディングすることができます。

コントロール ディスプレイ(ボード モニター)はパネルに取り付けられています。コントロール ディスプレイでは IHKA 機能の微調整ができます。

IHKA エアコン

IHKA のエア コンディショナーは、フロント パネルの中央部、メーター パネルの下に取り付けられています。

エアコンは次のコンポーネント/機能ユニットから構成されています:

エア コンディショナーは次の役目を果たします:

ヒント:IHKA を最初に作動させるときは、「クーラー コンプレッサー」に書かれている処置を行わなければなりません。

コントローラー付きブロワー

ブロワー:ブロワーはブロワー モーターとともにグローブ ボックス部分に取り付けられています。ブロワーはモーターから切り離すことができます。ブロワーは助手席側に取り付けるため、左および右ハンドル車用の バリエーション が用意されています。

コントローラー:コントローラーはブロワー モーターのハウジングに取り付けられています。レギュレーターは MUX バスや MUX モーターを介して、IHKA 操作パネルのコントロール ユニットによって制御されます。コントローラーは自己診断が可能です。診断インフォメーションは、評価のためコントロール ユニットに送られます。自己診断で、コンポーネントの異常過熱を引き起こすような故障が検知された場合、故障回路が取り除かれるまで電流を低下させるか、またはオフにします。

ブロワーがエアを吸入する場合は、フラップの位置に関わらず、

作動状態によっては、両方の経路からエアを吸入することも可能です。

モーターおよびメカニズム付きフラップ

フラップはエア配分、および暖気と冷気の混合のためのものです。

フレッシュ エア フラップ:このフラップはブロワーに吸入されるフレッシュ エア量を制御します。このフラップは自動内気循環モード(AUC モード)時に迅速に閉じるように、高速ローター モーターによって動かされます。フレッシュ エア フラップはラム圧補正のためのものでもあります。

内気循環フラップ:内気循環フラップは 3 枚のプレートを備えたブラインドになっています。内気循環フラップは吸入する外気配分を制御しています。

足元フラップ:足元フラップはベーシック仕様の場合、フロントおよびリアの足元へのエア量を制御しています。ハイ仕様の場合は、フロントおよびリア足元へ左右別にエアを供給します。

リア コンパートメント ベンチレーション フラップ:リア コンパートメント ベンチレーション フラップ(左右別)はハイ仕様にのみ使用されています。リア コンパートメント ベンチレーション フラップは、リア コンパートメントのエア量および温度(後席ミキシング)を設定しています。

デフロスト フラップ:2 枚が連結されたデフロスト フラップはフロント ウィンドウへのエア量を制御しています。デフロスト フラップの調整および操作機能は、すべて運転席側からのみ制御可能です。

温風/冷風フラップ:温風/冷風フラップはメーター パネルのベンチレーション グリルおよび B ピラー吹出口でのエア量を調節します。温風/冷風フラップは、温度ミキシングも行います。そのつどのフラップ ペアの連携により、エア量および温度の調節が同時に行われます。ハイ仕様の場合は、左右別に機能します。

フラップ ドライブ/ステップ モーター

フラップ モーターには、具体的な目的ごとに各種のステップ モーターが使用されています。

高速ローター:高速ローターはフレッシュ エア フラップのみ使用されます。このモーターのコイルは、コントロール ユニットにより 500 Hz のステップ周波数で制御されています。

MUX モーター:MUX モーターは他のすべてのフラップで使用されます。MUX モーターは回路内蔵コイルの制御用に利用されます。内蔵回路はバスとして機能し、診断機能を備えています。全ての MUX ギア ユニットおよびブロワー レギュレーターは、共通のモーター バス(MUX バス)を介してコントロール ユニットによって制御されます。内蔵回路から伝えられた故障は、コントロール ユニット内に登録されて、制御が中断されます。

それぞれのモーターには製造時に変更不可能なアドレスが割り当てられています。このためバス コミュニケーションの際、誤ることなくなく区別することが可能です。個々にアドレスが割り当てられているので、モーターの互換性はありません

ドライヤー内蔵コンデンサー

KMV 内での冷媒ガス圧縮によって発生した熱エネルギーは、コンデンサー表面で冷され、周囲に排出されます。冷媒は凝縮して液化します。ドライヤー内では、時に冷媒回路部内に含まれる水が集められ、腐食による損傷を防止しています。ドライヤー ユニットは交換可能です。微粒子除去のためフィルター スクリーンを内蔵しています。

クーラー コンプレッサー

クーラー コンプレッサーは、エバポレーターから吸入した冷媒ガスを圧縮してコンデンサーに押し込みます。クーラー コンプレッサーは、常に車両のエンジンと連動しています。構造上、また、コントロール ユニットによるパルス幅変調信号を利用したレギュレーティング バルブ制御のため、無段階の出力調節が可能です。負荷軽減のため、常に必要な分だけの冷却機能を発揮します。調節およびスイッチ基準:

IHKA と DME 間の情報交換は K CAN バスを通じて行われます。

ヒント:以下の場合、必ずコンプレッサーの慣らし運転を行なう必要があります:

KMV コンプレッサーの慣らし運転:KMW の潤滑を完璧に行うには、メーカーによって注入されたオイル量が、液化した冷媒によって均等に潤う必要があります。このためには KMV を一定時間 300 rpm 〜 1500 rpm で作動させます。

エンジン アイドル回転で 1500 rpm を超えると、慣らし手順を自動的に中止し、メッセージを出力します。その場合、慣らし手順を完全にくり返さなければなりません。

基準:エンジン始動時には、エア コンディショナーをオフにしておかなければなりません。作動要求の前にエア コンディショナーがオンにならないようにします。

以下のステップがなされます:

電動ファン

電動ファンはコンデンサー冷却のために必要です。ユーロ仕様の N62 エンジンには、吸引式電動ファンが採用されます。そのためにコーディングされたファン特性曲線は、エアコン作動時、常に最低ステージ 1 をアウトプットします。必要ファン回転数は冷媒圧力に応じて、エアコンから CAN バスを経由して DME へ伝えられます。

プレッシャー センサー

コンデンサーとエバポレーター間のプレッシャー ラインにあるプレッシャー センサーは、ライン圧に関する信号をコントロール ユニットに送ります。

エクスパンション バルブ

エクスパンション バルブはエバポレーターに取り付けられています。エクスパンション バルブはエバポレーター内への、液化した冷媒の噴出量を調節します。気化できる量の液化冷媒だけをエバポレーター内に送れるような配分を行っています。

エバポレーター

エバポレーターは 27 枚のアルミニウム プレートからできていて、表面積は約 5 平方メートルです。エバポレーターの温度調節は、コントロール ユニットにより行われます。エバポレーター温度コントローラーは、他の制御回路とは独立に固定調整値で作動しています。エバポレーターで生じる冷気は、ヒーター ラジエターのサポートにより、希望する温度まで上げられます。

マイクロ フィルター/エア サクション

吸入空気に通ずる両方のフィルター ハウジングのそれぞれにマイクロ フィルターが備えられています。ベーシック仕様では微粒子フィルターハイ仕様では 微粒子および活性炭フィルター組合せです。活性炭フィルターは有害な、および不快な気体を捕らえます。

メイン機能

温度調節

室内温度実測値と、セットされている室内温度規定値は、左右のセンサー コントローラーにより比較されます。この比較により得られる温度差信号が、温度調節のための調整値(Y 値)に影響します。

センサー コントローラーの作動範囲は、下位のコントローラーの作動範囲より広く設計されています。フラップおよびブロワー オートマチックなどの各種の IHKA 機能は、この作動範囲に基づいています。

左右のヒーター ラジエーター用に 1 つずつある補助制御回路がノイズ信号をカットします。ノイズ信号、エア量および水流の揺らぎの結果としての温度変化の形で現れることがあります。

エバポレーター温度は別付け制御回路によって調整され、外乱量としてシステムへ影響を及ぼすことはありません。

同様に、2 つの独立した制御回路が、左用、右用としてベンチレーション温度を調節します。これにより足元吹出口とベンチレーション吹出口間のミキシングが可能となります。

室内調節

有効な温度範囲は 16°C 〜 32°C(約 60°F 〜 90°F)です。この温度範囲内では、0.5°C(1.0°F)ステップでの設定が可能です。

最大ヒーター出力:32°C の規定値にセットすると、左および/または右で個々に最大ヒーター出力で作動します。このとき室内調節はキャンセルされます。ヒーター温度は最高温度 90°C に調節されます。調整値 Y は「最大ヒーター出力」にセットされます。

例外: パーキング ヒーター作動時にウォーター バルブを閉じたままにしておくために、最大ヒーター出力機能をキャンセルしておく必要があります。

最大冷却:16°C の規定値にセットすると、左および/または右で個々に最大冷却で作動します。このとき室内調節はキャンセルされます。ヒーター温度は最低温度 5°C に調節されます。調整値 Y は「最大冷却」にセットされます。

デフロストこの機能の場合も、室内調節はキャンセルされます。DEFROS 機能の終了時、MAX AC 機能時と同様に通常モードに調整されます。調整はデフロスト機能終了後の著しい冷却を防止します。

規定値の修正

外気温度オフ:セットした規定値は外気温度によって修正されます。外部の光線の影響や搭乗者の周辺の光線は、これにより補正されます。外気温度はバンパー部分で外気温度センサーにより検知され、K CAN バスを通じて IHKA に伝達されます。外気温度オフとそれに伴う規定値の上昇値は、+12°C と -2°C 間にあります。外気温度オフは可能性のある外乱量を防止するための所謂プリ制御としても利用されます。

室内温度センサー:室内温度の検知のため、操作パネルに、内部センサーブロワーとともに温度センサーが取り付けられています。

ヒート エクスチェンジャーの調節

ヒーターラジエター センサー:ヒーター ラジエター部分の吹出口温度検知のため、ヒーターの気流内の左右にヒーター ラジエター センサーが取り付けられています。これにより算出された値からウォーター バルブの開時間が決定されています。ウォーター バルブの制御は、パルス幅変調信号により行われます。

タンク位置効果:バルブに通電されていない状態では、ヒーター ラジエーターに水が充満します(タンク位置効果)。これを避けるため、Kl.15 をオフにした後、さらに 3 分間ウォーター バルブに電流を供給します。

エンジン特性マップ冷却:ガソリン エンジンでの特性マップ冷却の導入により、クーラント温度が 120°C まで上昇します。エア コンディショナーの損傷を避けるため、ヒーター ラジエター温度は 90°C に制限されています。ウォーター バルブの故障によりヒーター ラジエーター温度が 98°C を超えると、K CAN バスにより DME での特性マップ冷却がオフになります。

補助ウォーター ポンプエンジン回転数が低い場合でも必要な給水量を確保するために、補助ウォーターポンプ(電子式)が装備されています。オンになるのは、

バーチャル ベンチレーション

総合的な空気の温度と風量にするため、バーチャルな(現実には存在しない)フラップ位置を見込みます。この計算には以下の作動値を考慮します:

上記項目から算出されたバーチャル フラップ位置により、冷風および温風フラップの位置が修正されます。この修正は、温風と冷風の混合によって、希望する風量と温度でベンチレーション グリルに送られます。

温風および冷風フラップの位置は、それぞれ温風および冷風の風量を決定します。それによってベンチレーション温度だけではなく、総流量も決定されます。

このシステムでは、フラップそれぞれの開度変化はシステム全体の温度と風量に影響を与えます。ノイズ信号の修正では、ベーシック仕様ハイ仕様とで 別に考えなければ なりません。ベーシック仕様の場合は、ベンチレーション温度センサーのみが取り付けられています。ミキシング調節は運転席側からのみ行なうことができます。温風および冷風フラップは、バス制御のステップ モーターで調整します。

オートマチック プログラム の場合は、バーチャル フラップ位置は以下の作動値にのみ左右されます:

実際のフラップ アングルは以下の値から算出されます:

リア シート ベンチレーション制御(ミキシング)

この機能はハイ仕様 だけ にあります。リア シート用の温度調整フラップが独立しています。左右の温度調整フラップは、以下のような役目を果たしています:

左右ミキシング フラップの回転角から、エア量に対する以下の作用が発生します:

回転角

風量に対する作用

0%

クローズ

56%

温風

100%

冷風

 

エア量制御

自動ブロワーおよびフラップ調整:左右の AUTO ボタンを操作するか、またはコントロール ディスプレイにより該当する操作信号を送ると、その側のブロワーおよびフラップ オートマチックがオンになります。専用の AUTO LED 機能表示灯 が点灯します。同時に、ブロワー アクチュエーター(Y 値)に応じてブロワー オートマチックが作動します。

ブロワー アクチュエーターを操作すると、その側のブロワー オートマチックがオフになります。フラップ オートマチックは引き続き作動します。

AUTO のキーを操作すると、再びその側がブロワー オートマチックに切り替わります。

その時点のブロワー出力は、マニュアル モードでのみコントロール ディスプレイに表示できます。

オートマチック ブロワーは、調整値(Y)とソーラー センサーの信号に基づき制御されます。

オートマチック ブロワー アップ:オートマチック ブロワー アップは、マニュアル フラップ調整でもフラップ オートマチックでも利用可能です。

室内温度が極端な場合に速やかに冷却、または加熱できるように、通常調整範囲が拡張されます。

ブロワー オートマチックは、運転席側のブロワー アクチュエーター(Y 値)にのみ制御されます。

マニュアル ブロワー調整:ブロワー アクチュエーターを右に回すことにより、ブロワー出力が上昇します。ブロワー アクチュエーターを左に回すことにより、ブロワー出力が低下します。セットされたブロワー段階は、コントロール ディスプレイにバー表示されます。

ハイ仕様では、ブロワー調整は左右用の 2 個のポテンショメーターで行います。 ベーシック仕様 では、左側にあるポテンショメーターで行います。

ポテンショメーターにはストップ位置がありません。調整は止まるごとに 1 段階です。新たにセットされたブロワー段階は、コントロール ディスプレイにすぐに表示されます。最大、または最小出力に達すると、ポテンショメーターをそれ以上回しても変化はありません。

ラム圧:車速が上昇すると、ラム圧なしではエア インテーク ダクトでのエア量は不釣り合いに増加します。この作用は、エア インテーク ダクトをフレッシュ エア フラップによって小さくすることで補えます。このため、フレッシュ エア フラップの開度を、車速とブロワー調整に応じて 100% 〜 30% 間で変化させます。

システム回路対応式ブロワー制御:必要な場合、パワー モジュールの負荷遮断装置から第 1 段階のブロワー出力低減が K CAN バスを通じて伝送されます。

Kl.50 の影響:始動時でのバッテリーの負荷を低減するため、Kl.50 がオンになっている場合はブロワーをオフにします。

エア配分

エア配分はさまざまな選択が可能です:

オートマチック プログラム:オートマチック プログラムは、操作パネルではボタンにより、コントロール ディスプレイではエアコン メニューにより選択できます。

優先プログラム:優先プログラムは操作パネルでボタンにより選択できます。

マニュアル エア配分プログラム:マニュアル エア配分プログラムはコントロール ディスプレイ(ボード モニター)でエアコン メニューにより選択できます。

フラップ位置/フラップ ポジション

両側に分割しないフラップ調整:両側に分割されていないフラップ用

その都度、運転席側センサー コントローラー(Y 値)の設定値が有効です。機能の調整には、左右ステアリング検知(コーディング)が必要です。

優先度:各フラップの最初の位置がさしあたって、以下の優先度に従って固定されます:

これらの機能のいずれかが作動していると、これに固定されているモーターが規定ポジションになります。

基準作動:どのステップ モーターも実測ポジション検知を利用できないので、常に、フラップ ストップ位置(基準ポイント)に対して相対的に動きます。

「パワー オン リセット」(バッテリー接続)のたびに、フラップは強制的にストップ位置になります。これは、コントロール ユニットの交換時や、通常モードでの電源電圧の断線の場合などに起こります。ストップ位置は、そこに接続されている規定ポジションが最短距離で到達できるようにして定めます。

基準作動は、診断テスターのプリセットによっても行われます。

ポジション作動:車両停止後(Kl.15 をオフにする)、フレッシュ エア/内気循環フラップは「フレッシュ エア位置」に移動しなければなりません。これにより、もし IHKA に故障が発生した場合、室内にはいかなる状況でも外気を導入します。

マニュアル(個別)エア配分

マニュアル(個別)エア配分は、コントロール ディスプレイ(ボードモニター)から行われます。

プログラム

エア配分、ウィンドウ

エア配分、中央

エア配分、下方

上方

上へ

クローズ

クローズ

センター

クローズ

上へ

クローズ

下方

クローズ

クローズ

上へ

上方_中央

上へ

上へ

クローズ

上方_中央_下方

上へ

上へ

上へ

上方_下方

上へ

クローズ

上へ

中央_下方

クローズ

上へ

上へ

ハイ仕様では、個別エア配分は「上方」を除き、運転席および助手席側がそのつど独立に調整できます。

プログラム

エア配分、ウィンドウ

エア配分、中央

エア配分、下方

上方_中央_下方

上へ

クローズ

上へ

ベンチレーション

クローズ

上へ

クローズ

フロア(下方)

クローズ

クローズ

上へ

2 レベル(中央、下方)

クローズ

上へ

上へ

ハイ仕様では、個別エア配分は運転席および助手席側がそのつど独立に調整できます。

オートマチック プログラム

デフロスト フラップ:スタート時の曇りを和らげるため、デフロスト フラップはエンジン始動後 12 秒間閉じられます。その後、通常作動になります。

DEFROST 機能後、デフロスト フラップは徐々にフラップ ポジションに移動します。

運転席側で AUTO のキーが操作されると、デフロスト フラップは特性曲線プログラムに応じて開、または閉位置に移動します。助手席側の AUTO のキーは、デフロスト フラップの位置に影響を与えません。

バーチャル フラップ:運転席および助手席側で AUTO のボタンが操作されると、バーチャル フラップが特性曲線プログラムに応じて、左右独立して開、または閉位置に移動します。

このフラップは、以下の基準が満たされている場合、すべて閉じています:

バーチャル フラップの開角度は、運転席および助手席側でのさまざまなブロワー調整によってさらに狭めることができます。

ブロワー配分の小さなフラップは絞られます。ブロワー配分の大きなフラップはそのままです。

足元フラップ:運転席および助手席側で AUTO のキーが操作されると、足元フラップが特性曲線プログラムに応じて、左右独立して開、または閉位置に移動します。

優先プログラム

優先された機能では、自動的に調整されているフラップの規定ポジションが固定されます。以下のプログラムで、

Kl.R が作動中だと、このプログラム以外に有効である「ニュートラル」位置が採用されます。

コールド スタート アレスト

以下の基準に該当するとコールド スタート アレストが作動します:

この条件の 1 つでも満たされない場合、コールド スタート アレストはオフになります。

コールド スタート アレストの場合のフラップ調整は外気温度に依存します。個々の機能は固定されています。

外気温度 < 10°C の場合、デフロスト フラップは開位置、足元フラップは閉位置です。外気温度 < 10°C の場合、デフロスト フラップは閉位置、足元フラップは開位置です。

MAX-AC 機能

MAX AC 機能により、運転者はボタン 1 つで、操作パネルの最大冷却を選択できます。

MAX AC 機能は DEFROST 機能の次に高い優先度を持っています。

MAX-AC ボタンを操作すると、DEFROST を含むすべての機能がオフになります。KLIMA 機能は、すでにオンになっていなければオンにされます。KLIMA 機能は、MAX AC 機能を解除した後もオンのままです。

MAX AC 機能 は、以下の操作により終了します。

この場合は呼び出した機能が作動し、MAX AC 機能以前に選択されていた制御が再びオンになります(DEFROST 以外)。

作動中の MAX AC 機能は、MAX AC ボタンを操作しても終了できます。

スイッチ基準の一覧:MAX AC 機能がオンになるのは

アクティブ調整:MAX AC ボタン操作後に、作動中の MAX AC 機能が定められた制御を行います。

デフロスター機能

エア配分および暖房運転の制御評価の際、DEFROST 機能が優先されます。デフロストは、DEF ボタンで作動します。

DEFROST 機能はオフ機能の次に高い優先度を持っています。これらの機能の作動中は、LED 機能表示灯は、リア デフォッガー作動中のリア デフォッガー LED に至るまですべてオフになります。DEFROST フラップは設定された大きさに応じて開きます。

DEFROST 機能が選択されているとき、ブロワー調整は可能です。

ソーラー センサーの影響

ハイ仕様ではメーター パネル上、センター スピーカーのグリル内にソーラー センサーが装備されています。

ソーラー センサーは、外部にあって車内環境に影響を与え、搭乗者の健康状態を左右する熱源(太陽光線など)を検知します。

ソーラー センサーのないエア コンディショナーは、経験的に算出された太陽光線に設定してあります。ソーラー センサーによって、実際の環境条件に最も適合した調節が可能になります。

ソーラー センサーにより、左および右側での異なる太陽光線強度が検知されます。

太陽光線が強くなると、室内環境に関わる機能の作用に方向的なずれが生じます。このずれは、ソーラー センサーの修正値をインプットすることにより正常に戻ります。夜間、またはトンネル走行時には逆のずれが発生します。

ソーラー センサーによる調整機能の影響は、運転席および助手席側で別々に現れます。以下の機能が変化します:

リア デフォッガー

リア デフォッガーはリア デフォッガー ボタンを押すことにより作動します。スイッチ内の機能表示灯により、フィード バックされます。リア デフォッガー ボタンを普通に押すか、または加熱時間 10 〜 17 分が経過するとオフになります。リア デフォッガー ボタンを間欠作動中に押すと、5 分間の余熱段階がオンになります。

リア デフォッガー機能は、オフ機能以外の IHKA の他のキー操作とは独立しています。

融解ステージ:融解機能を最適にするため、 Kl.15 オン後(スリープ モード後の再スタート)の最初のオン プロセスでは、リア デフォッガーの作動時間は以下のように定められています:

加熱時間中は LED 機能表示灯が点灯します。

タイマーの作動:融解ステージの後、1/4 のヒーター出力で 30 分間間欠的に加熱されます:

3 秒オン

9 秒オフ

タイマー作動中は LED 機能表示灯がオフになります。

ワイパー ヒーター

ワイパー ブレードの凍結を防止するため、ワイパー ヒーターが外気温度に応じてオンになります:

オフ機能

IHKA のハイ仕様では、左エア コントローラーを押すことにより、オフ機能が作動します。これによって以下の機能が解除されます:

どのスイッチ操作によっても「IHKA-OFF」がキャンセルされ、選択された機能が作動を始めるか、作動を止めます(オフ ボタンが押された場合)。

内気循環/自動外気導入/自動内気循環

UMLUFT/AUC ボタンにより以下の状態が選択できます:

UMLUFT/AUC ボタン

機能

1 回操作

自動外気導入機能作動(AUC LED が明るく、UMLUFT LED が暗い)

2 回操作

内気循環機能作動(AUC LED が暗く、UMLUFT LED が明るい)

3 回操作

外気導入運転に戻る(AUC LED 、UMLUFT LED ともに暗い)

内気循環モード:内気循環機能により、ウィンドウとサン ルーフを閉じているときは、外気の侵入による空気の汚れ(信号待ち、トンネル走行など)を防止できます。

内気循環機能が作動するのは、

フレッシュ エア フラップは直ちに最大限に閉じます。内気循環フラップは約 4 秒で開きます。

冷却回路が強制的に閉じることはありません。

内気循環機能はコントロール ユニットのスリープ モードの前にメモリーされません。リセット後はこの機能が消去されます。

自動外気導入コントロール(AUC):空気の汚れを測定するため、IHKA によって 2 種類のセンサー システムが評価されます:

AUC 1 および AUC 2 の自動外気導入機能はスリープ モードでも消去されません。

内気循環状態では、フレッシュ エアの比率が少ないため室内の湿度が相対的に上がりがちです。それによりウィンドウが曇ることがあります。これをを防止するため、自動外気導入機能での内気循環状態は、ヒーターおよびエア コンディショナーの作動(コンプレッサー オン)に応じて制限されます。

自動内気循環:この特殊機能は室内の迅速な冷却のためのものです。極端な冷却能力がほしいとき、室内を速やかに冷却するため、すでに冷えている室内のエアを再びエバポレーターに導きます。これにより、温度レベルが通常の作動の時よりもきわめて速く下がります。

この機能は、さしあたって 12 分間フル内気循環モードとなり、その後は常にパーシャル内気循環モード(フレッシュ エア 30%/内気循環 100%)を続けます。この機能が 12 分以内に中断されると、再び作動するときはパーシャル内気循環モードだけになります。

自動内気循環は以下のスイッチ基準でオンになります:

コーディング

車種別データのメモリーの際は、以下の情報に注意してください:

コーディング データはコントロール ユニットのメモリーに送られますが、コントロール ユニットをリセットして初めて有効となります。

キー メモリー

4 種の異なる車両の操作設定(4 種の異なる無線キー)を、Kl.15 オフ後にメモリーさせることができます。この設定はそれぞれのキーで Kl.15 をオンにするとアクティブになります。

前回の設定は始動時にアクティブになります。

キー ナンバーのインフォメーションは、イグニッション スイッチを操作するごとに、また作動要求のあるごとに K CAN メッセージを通じて送信されます。

IHKA はコーディング段階でのリセット後に、CAS の照合メッセージの助けを借りて、使用されているキーについて問い合わせます。

4 種類の異なる無線キーにより、ドライバーに関するデータがひとまとめのメモリー ブロックとしてメモリーされます。これは無線キーを検知すると再び呼び出されるのです。

標準設定として、キーが検知されない場合などでは、第 5 のメモリー ブロックが利用されます。

5 つのメモリー ブロックのそれぞれに以下のデータがメモリーされています:

カー メモリー

カー メモリーには、コントロール ユニットがスリープ モードになる前に持続的に IHKA にメモリーされていて、リセットすると再びオンになるすべての動作が含まれます。

コンポーネントのステイタスのメモリー:

例外:内気循環メモリー バージョン(コーディング可能)では、場合によっては事前にオンにした UMLUFT、または MAX AC 機能がメモリーされることがあります。

コンポーネント機能のコーディング バリエーション:コンポーネント機能は使用法に合わせてコーディングできます:

セイフティ機能

負荷遮断装置

パワー モジュールから「優先ピーク低減制御」信号が出された場合、IHKA 制御の負荷は、優先度に応じて出力を低下させられるか、またはオフになります:

パワー モジュールから「停止時負荷ステイタス」- 遮断信号が出された場合、IHKA 制御の停止時負荷はオフになります:パーキング ヒーター オフ、パーキング ベンチレーション オフ、余熱オフ

DEFROST 機能は安全にかかわるもののため、常に最大ブロワー出力で作動します。

スリープ/ウェイト/パワー ダウン モード

スリープ モード:要求された無負荷電流を得るため、コントロール ユニットは、ネットワーク マネージメントによる効果的な「睡眠」に入り、消費電流最小限(< 100 µA)の状態となります。ここで考慮すべきなのはウェイト モードです。

ウェイト モード:ウェイト モードは以下のアフター ランニング経過後に開始されます:

コントロール ユニットのアフター ランニング

Kl.15

余熱開始

3 分

オフ

は満たされない

15 分

オフ

は満たされる

パワー ダウン モード:パワー ダウン コマンドによって、速やかに静電流を測定するために、車両電装品を通常はアフター ランニング後に自動的になる状態へ効果的に移行させます。

コマンドは DIS テスターで送ります。それによりアフター ランニングが最大 5 秒にまで短縮できます。

国別仕様