CAS は、BMW 車の盗難防止およびエンジン始動ロック(EWS)の役割を果たします。
それぞれのイグニッション キーには、トランスポンダー チップが内蔵されています。イグニッション スイッチには、リング コイルが装着されています。トランスポンダー チップは、このコイルを介して CAS コントロール ユニットから電源を供給されます。したがって、キーにはバッテリーが必要ありません。電源供給およびデータ伝送は、イグニッション スイッチのリング アンテナ(コイル)とイグニッション キーに内蔵されているトランスポンダー チップとの間で、変圧器により行われます。
その際、データはキーから CAS コントロール ユニットへ送られます。このデータが正しければ、CAS コントロール ユニットがコントロール ユニット内のリレーを介してスターターをロック解除し、更に DME/DDE のデータ ケーブルを介してコーディングされた始動ロック解除信号を送ります。この手順のため、始動が最大 0.5 秒遅延することがあります。
データ ケーブルを介して CAS コントロール ユニットから、コーディングされたロック解除信号が DME/DDE へ送られます。この伝送が行われると、やっとエンジンが始動可能となります。
エンジン コントロール ユニット(DME/DDE)は、CAS コントロール ユニットから正しいロック解除信号が送られてきた場合にのみ、始動ロックを解除します。
CAS コントロール ユニットおよび DME/DDE コントロール ユニットには、同じ交換コードがメモリーされており、その数値は始動ごとに変化します。CAS コントロール ユニットから送られたコードが、DME/DDE コントロール ユニットのコードと一致したときに、始動ロック解除が行われます。
コントロール ユニットの割当ては、DME/DDE コントロール ユニットの最初のプログラミング時に行われます。エンジン コントロール ユニットは CAS コントロール ユニットの基本コードを送信します。
重要!
試験的交換用に DME/DDE または CAS コントロール ユニットを入れ替えてみることはできません!
両方のコントロール ユニットの交換コードが、異なることが極めてまれにあります。この場合、サービス機能「DME(DDE) - CAS の同期」により、両方のコードを始動値にリセットすることができます(EWS 同期)。
イグニッション キーを差し込むと以下の手順が実行されます:
エンジン コントロール ユニットでは、以下の故障が検知されます:
故障が検知されると、エンジン始動がロックされます。