CAN(コントローラー エリア ネットワーク)バス システムは、コンスタント バス システムのひとつです。以下の特徴があります:
基本的に、各コンポーネントはバスと接続しているその他の全コンポーネントと交信できます。アクセスによって、バス上のデータ交換が制御されます。K-CAN バス(ボディ CAN)と PT-CAN バス(パワー トレーン CAN)間の主な相違:
主制御:主制御は交信のイニシアチブをとるアクティブ コミュニケーション パートナーです。主制御は、バスを管理し、交信を制御します。主制御は、メッセージをバス ネットのパッシブ コンポーネント(従属制御)へ送り、要求に応じてパッシブ コンポーネントからメッセージを受信します。
従属制御:従属制御はパッシブ コミュニケーション コンポーネントです。従属制御は、データの送受信を要求されます。
マルチ マスター システム:マルチ マスター システムでは、全コミュニケーション コンポーネントが一定時間、主制御または従属制御の役割を担うことができます。
CAN バスのコミュニケーションの故障には、以下の原因が考えられます:
- CAN ローまたは CAN ハイ コミュニケーション ケーブルの断線またはショート
- コネクターの不良(ピンプラグの損傷/汚れ/腐食)
- イグニッション コイルの故障またはグラウンド接続などにより生じるバッテリー回路内の妨害電圧
- 個々のコントロール ユニットのコミュニケーション モジュールの故障
- 個々のコントロール ユニットの電源供給の故障(ほぼバッテリーが空の状態で、バッテリー電圧がゆっくりと降下する場合、故障が登録されることがあります。電源供給が低すぎるとすべてのコントロール ユニットが同時にオフになるためです)。
抵抗測定では通常、測定前に点検するコンポーネントを無通電状態にする必要があります。このためにバッテリーのターミナル接続を外します。システムの全コンデンサーが放電するまで、約 3 分待ちます。
抵抗測定のテスト手順
ボタンで切り換える 測定システム -> マルチ メーター
信号の反射を防止するために、2 つの CAN バス コンポーネント付近では(PT-CAN ネットワークとは最も離れている)、それぞれ 120 Ωの抵抗を接続します。2 つの終端抵抗は並列に接続されていて、代替抵抗は 60 Ωです。供給電圧を遮断すると、この代替抵抗はデータ通信ケーブル間で測定できます。その他に、個別抵抗を別々に測定できます。(60 Ω測定のためのヒント:手が届くバスのコントロール ユニットを外し、CAN ロー ケーブルと CAN ハイ ケーブル間の抵抗をコネクターで測定します)
測定のための前提条件:バッテリーのターミナルを接続し、イグニッションをオンにする!
ボタンで切り換える 測定システム -> マルチ メーター
CAN ローまたは CAN ハイ ケーブルが故障しているかどうか突き止めるために、CAN ロー ケーブル(または CAN ハイ)とグラウンド間で電圧を測定できます。
CAN ロー とグラウンド間:電圧は約 2.4 V
CAN ハイ とグラウンド間:電圧は約 2.6 V
これらの値は、近似値であり、バスの負荷に応じて 100 mV から若干ずれることがあります。
測定のための前提条件:バッテリーのターミナルを接続し、イグニッションをオンにする!
ボタンで切り換える 測定システム -> オシロスコープ設定
CAN バスが正常に作動しているかどうかを見るためには、バス上のコミュニケーションを点検するのが良い方法です。この場合、個別ビットの分析は重要ではなく、CAN バスが作動しているかどうかを単に見ることが重要です。オシロスコープに表示されます:「CAN バスは正常に作動していると思われます」。
オシロスコープを使用して、CAN ロー ケーブルとグラウンド間の電圧差を測定する場合、電圧限界内 U(最低) = 1.5 V および U(最大) = 2.5 V で矩形波信号が表示されます。
オシロスコープを使用して、CAN ハイ ケーブルとグラウンド間の電圧差を測定する場合、電圧限界内 U(最低) = 2.5 V および U(最大) = 3.5 V で矩形波信号が表示されます。
これらの値は、近似値であり、バスの負荷に応じて 100 mV から若干ずれることがあります。
コントロール ユニットの内部スイッチ回路に応じて抵抗が変動するため、K-CAN データ バスでは所定の抵抗測定を行うことができません!
測定のための前提条件:バッテリーのターミナルを接続し、イグニッションをオンにする!
ボタンで切り換える 測定システム -> マルチ メーター
CAN ローまたは CAN ハイ ケーブルが故障しているかどうか突き止めるために、CAN ロー ケーブル(または CAN ハイ)とグラウンド間で電圧を測定できます。
CAN ロー とグラウンド間:電圧は約 4.8 V
CAN ハイ とグラウンド間:電圧は約 0.2 V
これらの値は、近似値であり、バスの負荷に応じて 100 mV から若干ずれることがあります。
測定のための前提条件:バッテリーのターミナルを接続し、イグニッションをオンにする!
ボタンで切り換える 測定システム -> オシロスコープ設定
CAN バスが正常に作動しているかどうかを見るためには、バス上のコミュニケーションを点検するのが良い方法です。この場合、個別ビットの分析は重要ではなく、CAN バスが作動しているかどうかを単に見ることが重要です。オシロスコープに表示されます:「CAN バスは正常に作動していると思われます」。
オシロスコープを使用して、CAN ロー ケーブルとグラウンド間の電圧差を測定する場合、電圧限界内 U(最低) = 1 V および U(最大) = 5 V で矩形波信号が表示されます。
オシロスコープを使用して、CAN ハイ ケーブルとグラウンド間の電圧差を測定する場合、電圧限界内 U(最低) = 0 V および U(最大) = 4 V で矩形波信号が表示されます。
これらの値は、近似値であり、バスの負荷に応じて 100 mV から若干ずれることがあります。
K-CAN または PT-CAN データ バスが機能しない場合、CAN ローまたは CAN ハイ ケーブルがショートしているか、またはコントロール ユニットが故障していることが考えられます。故障原因を特定するために、以下の手順を実行することが重要です:
これらの手順は、コントロール ユニットと CAN バス間の接続ケーブルがショートしている場合にのみ意味があります。CAN バス ケーブル自体がショートしている場合、ハーネスを点検する必要があります。
CAN バス コントロール ユニット内に 2 つの異なるバスの故障が登録されている可能性があります:
コミュニケーション エラーは、CAN バスに接続しているコントロール ユニットが故障している、つまりもうコミュニケーションできないコントロール ユニットが存在することを示します。故障「CAN コミュニケーション エラー」は、故障が存在しない場合にのみ読み出すことができます。故障がまだ在る場合、当該コントロール ユニットとはもうコミュニケーションできません。従って、ディフェクト メモリーも読み出すことはできません!
物理的なケーブルの故障は、故障に対応できる CAN トランシーバーを使用することによって検知されます。しかし現在、K-CAN データバス用の故障に対応できるトランシーバーしかありません。従って、K-CAN データ バスに接続しているコントロール ユニットのみディフェクト メモリー「CAN ケーブルの故障」が登録されます! また、CAN トランシーバーは、以下に挙げる個々の故障種類は識別できません。従って、バスの故障 「CAN ケーブルの故障」がコントロール ユニットに登録されている場合、以下を示している可能性があります:
ケーブルの断線(単線式作動):各コントロール ユニットには、専用バス接続部があります。これはケーブルが断線した場合にも、電圧レベルが K-CAN ネットワーク全体で維持されることを意味します。これは結果として、送信コントロール ユニットが該当する故障を検知せず、引き続き 2 線式作動で作動することを意味します。但し、任意のコントロール ユニットが損傷箇所に関するメッセージを伝送する場合、受信コントロール ユニットは損傷していないバス ケーブルでのみ作動を検知します。受信コントロール ユニットは単線式作動を検知し、故障「CAN ケーブルの故障」をメモリーします。複数のコントロール ユニットが損傷箇所からメッセージを受信すると、単線式作動時にいくつかのコントロール ユニットがこのディフェクト メモリーを登録する可能性があります。
ショート:システム内にショートが存在する場合、全ての K-CAN-コントロール ユニットが故障「CAN ケーブルの故障」を登録した可能性があります。ショートを特定するために電圧測定またはオシロスコープ測定を行なうか、または「CAN バス作動せず」に従って手順を進めます。