レール プレッシャー コントロール

以下のコンポーネントはコモン レール システムに属し、レール プレッシャー コントロールを制御します:

高圧システムの燃料供給も、当然のことながらレール プレッシャー コントロールに大きな影響を与えます。プリフィード プレッシャー コントロールが正常に作動しないと、レール プレッシャー コントロールは正常に作動しません!

エンジン バージョンに応じて、一部で異なるバージョンのコンポーネントが使用されます。以下の表を参照してください:

エンジン

DRV

HDP

インジェクター

N47uL

DRV2U

CP4.1

ソレノイド バルブ

N47oL

DRV3.2

CP4.1

ピエゾ

N47TOP

DRV3.3

CP4.1H

ピエゾ

機能

高圧ポンプは、常時レール内でシステム圧を生成させます。正しいレール プレッシャーに調整するために、2 個のアクチュエーターが使用されます(ダブル アクチュエーター コンセプト):

作動ポイントに応じて、以下の 3 種類のコントロール種類のいずれかによってレール内の圧力が正しく調整されます:

コントロール種類は、以下の作動ポイントで作動しています:

エンジン バージョンに応じて、さまざまな最高レール プレッシャーで走行します。以下の表を参照してください:

エンジン

最高レール プレッシャー

N47uL

1600 bar

N47oL

1800 bar

N47TOP

2000 bar

レール プレッシャー モニター

レール プレッシャーはエンジン始動中およびエンジン回転中、規定値/実測値の比較によってモニターされます。 レール プレッシャー センサーは DDE に実測値を伝えます。規定値は作動状態に応じて DDE によって演算されます。 DDE が実測値と規定値間に許容できない差を検知すると、故障がディフェクト メモリーに登録されます。

レール プレッシャーが規定値の許容誤差を超えている場合、以下の原因が考えられます:

故障時の処理

DDE が許容できないレール プレッシャー コントロールの制御値のばらつきを検知すると、最初の処置として噴射量が制限されます。 それでも制御値のばらつきを防げない、またはばらつきが低いレベルに保たれる場合、レール プレッシャーが低すぎる場合はエンジンが停止します。エンジン始動時に低すぎるレール プレッシャーが検知されると、エンジンは始動できません。

コンポーネント簡略説明

高圧ポンプ

高圧ポンプ CP4.1 は、シリンダーを 1 個備えたラジアル ピストン ポンプです。高圧ポンプのシャフトには、ピストンを作動させるカムが 2 個備えられています。

高圧ポンプは、エンジンのチェーン ドライブを介して駆動されます。チェーン ドライブはエンジンの後部にあるため、高圧ポンプもエンジンの後部に取り付けられています。

レール プレッシャー センサー

レール プレッシャー センサーはレール内のレール プレッシャーを検知し、レール プレッシャー コントロールおよび流量の測定用のセンサーとして使用されます。レール プレッシャー センサーはレールの前側の端に取り付けられています。

DDE コントロール ユニットは、レール プレッシャー センサーにグラウンド接続と 5 V の供給電圧を供給します。

レール プレッシャーは、センサーのボアを通じてセンサー エレメント付きのダイアフラムに到達します。ダイアフラムの変形がセンサー エレメントによって電圧に変換され、DDE にアウトプットされます。電圧信号はレール プレッシャーが増加するにつれて直線的に増加します。レール プレッシャー センサーの適応は、さまざまな特性曲線の適用によって実現されます。

故障時の処理

DDE がレール プレッシャー センサーの不具合を検知すると、DDE が代替値を出力し、噴射量を制限します。

レール プレッシャー コントロール バルブ

レール プレッシャー コントロール バルブは、電気制御式バルブで、レールの後端に取り付けられています。

DDE は DDE によって演算された規定レール プレッシャーに合わせるために、数種類のデューティー比でプレッシャー コントロールを作動させて、レール プレッシャー コントロール バルブを制御します。遮断された燃料は、レール プレッシャー コントロール バルブからリターン ラインに導かれます。

レール プレッシャー コントロール バルブは、作動状態に応じて、高圧側からある程度の量の燃料を無圧状態に近いリターン ラインに送ります。 リターン ラインに流れ込む燃料が多ければ多いほど、高圧側の圧力上昇が低くなります。

GR_FB1307002

図 1:DRV3.2 断面図

1

プラグ コンタクト

5

高圧側へのボア

2

アンカー プレート

6

ボール バルブ

3

オープニング スプリング

7

リターン ライン側へのボア

4

ソレノイド コイル

8

プレッシャー ピン

レール プレッシャー コントロール バルブを制御することによって、コイルに通電されます。その結果、アンカー プレートが作動し、プレッシャー ピンがバルブ ボールをバルブ シートに押し付けます。バルブ ボールをバルブ シートに押し付ける力が強ければ強いほど、より少量の燃料がリターン ラインに流れ込みます。

デューティー比、制御電流、圧力上昇および流量が互いにどのように関連しているかは、以下の表を見ると分かります:

デューティー比

制御フロー

圧力上昇

リターン ラインへの体積流量率

高い

高い

高い

低い

低い

低い

低い

高い

レール プレッシャー コントロール バルブへの通電が行われていないときは、バルブは開いています。これは、レール プレッシャーが完全に低下することを意味します。

N47 の各バージョンの最高レール プレッシャーは異なっているため、さまざまなバージョンのレール プレッシャー コントロール バルブが取り付けられています。以下の表を参照してください:

エンジン

レール プレッシャー コントロール バルブ

最高レール プレッシャー

N47uL

DRV2U

1600 bar

N47oL

DRV3.2

1800 bar

N47TOP

DRV3.3

2000 bar

各種レール プレッシャー コントロール バルブの作動方式は基本的に同じで、各バージョンは、圧力に適応させるために構造のみが異なっています。

故障時の処理

レール プレッシャー コントロール バルブの制御が中断されたり、グラウンドへのショートが存在すると、エンジンが停止します。

DDE がプラス側へのショートを検知すると、DDE が噴射量を制限し、フロー コントロールに切り替えます。

フロー コントロール バルブ

フロー コントロール バルブは、電気制御式バルブで、高圧ポンプに取り付けられています。DDE は DDE によって演算された規定レール プレッシャーに合わせるために、フロー コントロール作動時、数種類のデューティー比でフロー コントロール バルブを制御します。

フロー コントロール バルブは、低圧側から高圧ポンプの高圧側へ流れる燃料を調整し、希望レール プレッシャーに調整します。フロー コントロール バルブが高圧側へ送る燃料が少なければ少ないほど、それだけ高圧ポンプのシリンダーへの補給量は少なくなります。その結果、生成されるレール プレッシャーが低くなります。

デューティー比、制御フロー、圧力上昇およびバルブによる体積流量率は以下に関連します:

デューティー比

制御フロー

圧力上昇

高圧側への体積流量率

高い

高い

低い

低い

低い

低い

高い

高い

故障時の処理

フロー コントロール バルブの制御が中断されたり、グラウンドへのショートが存在すると、フロー コントロール バルブがフル吐出を行います。DDE が不具合を検知し、噴射量を制限してプレッシャー コントロールに切り替えます。

プラス側へのショートが発生すると、エンジンが停止します。

インジェクター

エンジン バージョンに応じて、異なるソレノイド バルブまたはピエゾ インジェクターが使用されます。以下の表を参照してください:

エンジン

インジェクター

N47uL

ソレノイド バルブ

N47oL

ピエゾ

N47TOP

ピエゾ

インジェクターの仕様とは無関係に、インジェクターには絶えずレール内にかかっているフューエル プレッシャーがかかります。DDE コントロール ユニットによる電気的制御によって、燃料は燃焼室へ噴射されます。

電気的制御

ハイ側 P_MVH(ソレノイド バルブ)または P_PIH (ピエゾ)のケーブルは DDE コントロール ユニット内部でブリッジされていますが、各インジェクターは専用のピンとケーブルを介して DDE コントロール ユニットに接続されています。

注意!

ハイ側で不具合が発生する場合、各ケーブルが接続されているため、不具合原因はどのケーブルにもある可能性があります。この場合、全インジェクターは作動を停止します。

ソレノイド バルブ インジェクターのトラブルシューティング

ソレノイド バルブ インジェクターの診断を完全に行うには、以下の方法があります:

ピエゾ インジェクターのトラブルシューティング

ピエゾ インジェクターの診断を完全に行うには、以下の方法があります:

現在、ピエゾ インジェクターのリターン量を測定することはできません。ピエゾ インジェクターの場合は、ソレノイド バルブ インジェクターよりもリターン量が原理的にはるかに少なくなります。

注意!

ピエゾ インジェクターを装備したエンジンの場合は、フューエル リターンにプリフィード プレッシャーがかかります! ピエゾ インジェクターの作動には、この圧力が必要です。

サービスに関する注意事項:

高圧ポンプの交換

高圧ポンプを交換する場合は、電動フューエル ポンプの学習をリセットする必要があります。該当するサービス機能を参照してください。

インジェクターの交換

1 個または複数のインジェクターを交換する場合は、インジェクター流量調整を行う必要があります。該当するサービス機能を参照してください。

レール プレッシャー コントロール バルブの交換

レール プレッシャー コントロール バルブを交換する場合は、レール プレッシャー コントロール バルブの学習をリセットする必要があります。該当するサービス機能を参照してください。