トランスミッションセレクタースイッチ(セレクターレバー)

トランスミッションセレクタースイッチ(セレクターレバー)はトランスミッションを走行ポジションまたはギアに入れるために使用します(ステップトロニック)。セレクターレバーポジションは、ケーブルによりトランスミッションへ伝達されます。シフトされた走行ポジションは、シフトインディケーターライトにより視覚表示されます。

シフトパドル装備車
セレクターレバーによるシーケンシャルギア選択のほか、ステアリングホィールの 2 つのシフトパドルによってもギア選択が可能です(車種により異なります)。
シフトアップするには、どちらかのシフトパドルを短く引きます。
シフトダウンするには、どちらかのシフトパドルを短く押します。

コンポーネント簡略説明

セレクターレバーはセンターコンソールに組み込まれています。セレクターレバーカバーにはセレクターレバーポジションを示すインディケーターがあり、走行ポジションがシフトパターン上にバックアップ照明されます。バックアップ照明はセレクターレバーのスライドコンタクトで制御されます。
セレクターレバーを誤って「R」位置または「P」位置に入れるのを防ぐため、ロックが設けられています。このロックを解除するには、セレクターレバーのツマミ前面のボタンを押さなければなりません。

インデックス	説明	インデックス	説明
1	セレクターレバーポジションの表示照明	2	セレクターレバーカバー
3	「KEY」	4	セレクターレバー

セレクターレバーのポジションは下記のとおりです。

駐車用：エンジン始動が可能です。
リバースギア用
ニュートラル用：エンジン始動が可能です。
車両の牽引はこのポジションでのみ可能です。
ドライブ用：自動制御
ギアはアダプティブトランスミッションコントローの範囲内で切り換えられます。
「M」(マニュアルモード) = ステップトロニック
または
「S」(スポーツプログラム) = スポーツ特性曲線による自動制御
- マニュアルシフトダウン
- マニュアルシフトアップ
セレクターレバーが「M/S」位置にあるとき、トランスミッションはスポーツ特性曲線により自動制御されます。メーターパネル上の表示は「D」から「SD」に変わります。
セレクターレバーをシフトゲート「M/S」で - または + 方向に倒すと、電子回路がステップトロニックに変わり、セレクターレバーまたはシフトパドルによるマニュアルモードが恒久的にアクティブになります。メーターパネル上の表示は「SD」から「M1 〜 M6」に変わります。
マニュアルモードではトランスミッションコントロールによるシフトアップまたはシフトダウンは、適切な回転数および速度でのみ行われます。
エンジン回転数が過大または不足になるようなシフト動作を行うことはできません。
「M/S」ポジションはステップトロニックスイッチにより配線を介して(信号名EGS_MGE または EGS_MGA)直接トランスミッションコントロールへ伝えられます。ステップトロニックスイッチはトランスミッションセレクタースイッチに内蔵されています。個々のギアのシフトアップまたはシフトダウンのためのステップトロニックのセレクターレバー位置は配線を介して(信号名EGS_UP、EGS_Down)直接トランスミッションコントロールへ伝えられます。

システム機能

以下のシステム機能を説明します。

パーキングロック

パーキングロックはトランスミッションシャフトをブロックします。これによって車両の移動が防止されます。パーキングロックは勾配 32 % までの坂道で車両を確実に固定できるように設計されています。
パーキングロックは車両が停止している状態でセレクターレバーで純機械的に(セレクターレバーからメカトロニクスモジュールに至るボーデンケーブルによって)作動させることができます。

シフトロック(セレクターレバーのロック)

セレクターレバーは「P」および「N」位置でソレノイドバルブによりブロックされます。ソレノイドバルブは EGS コントロールユニットにより制御されます。
セレクターレバーが「P」または「N」位置にあることが検知され、かつイグニッション(Kl. 15)がオンであるとき、セレクターレバーをロックすることができます。

「P」または「N」位置からセレクターレバーを動かすことは、車速が 5 km/h 以下で、かつエンジン回転数 2500 rpm 以下でブレーキを操作したときのみ可能です。

インターロック

イグニッションスイッチおよびイグニッションキー (E83) 使用の車両
イグニッションスイッチはボーデンケーブルで機械的にセレクターレバーと接続されています。イグニッションキーをロックすると、セレクターレバーが「P」位置にあるとき以外はイグニッションキーが引き抜けなくなります。
反対に、イグニッションキーを挿入して少なくともイグニッションオンの方向に回さなければ、セレクターレバーを「P」位置から動かすことができません。

インデックス	説明	インデックス	説明
1	EGS コントロールユニットメカトロニクスモジュールに内蔵	2	メーターパネル(KOMBI)
3	電子式エンジン始動ロックシステム(EWS)	4	デジタルモーターエレクトロニクス(DME)
5	セレクターレバーカバーにシフトパターン付きセレクターレバーポジションの表示	6	イグニッションスイッチのインターロック用ボーデンケーブル
7	インターロック付きイグニッションスイッチ	8	セレクターレバー
9	トランスミッションポジションセンサー付きトランスミッションポジションスイッチおよびパーキングロック用ボーデンケーブル	PT-CAN	パワートレイン CAN

スライドインスロットおよびリモートコントロール使用の車両
セレクターレバーは Kl. 15 がオフのときソレノイドバルブにより「P」位置にロックされます。リモートコントロールをスライドインスロットに挿入しない限り、セレクターレバーは「P」位置にロックされています。
ソレノイドバルブには EGS コントロールユニットにより Kl. 15 からセレクターレバーのロック解除のための電流が供給されます。セレクターレバーがロックされているか否かはマイクロスイッチにより検知されます。マイクロスイッチは信号を CAS (カーアクセスシステム)に送り、リモートコントロールを許可します。
- コンフォートアクセスを用いないインターロック
  セレクターレバーが「P」位置に入っていないと、リモートコントロールをスライドインスロットから抜くことができません。セレクターレバーが「P」位置にあるとき、イグニッションオフでセレクターレバーがブロックされ、リモートコントロールを抜くことができます。
- コンフォートアクセスを用いるインターロック
  セレクターレバーが「P」位置にあるときのみエンジンまたは Kl. 15 (イグニッション)をオフにすることができます。

インデックス	説明	インデックス	説明
1	EGS コントロールユニットメカトロニクスモジュールに内蔵	2	カーアクセスシステム(CAS)
3	スタート/ストップボタン	4	インターロック付きスライドインスロット
5	リモートコントロール	6	メーターパネル(KOMBI)
7	ジャンクションボックスコントロールユニット(JBE)	8	デジタルモーターエレクトロニクス(DME)またはデジタルディーゼルエレクトロニクス(DDE)
9	パドルスイッチ付きステアリングホィール	10	セレクターレバーカバーにシフトパターン付きセレクターレバーポジションの表示
11	セレクターレバー	12	トランスミッションポジションセンサー付きトランスミッションポジションスイッチおよびパーキングロック用ボーデンケーブル
K-CAN	ボディコントローラーエリアネットワーク	Kl. 15 WUP	ウェイクアップケーブル(Kl. 15 Wake-up)
PT-CAN	パワートレイン CAN

シフトパドルによるギアシフト

セレクターレバーが「D」位置にあるとき、シフトパドルを用いてギアを切り換えると、自動制御がマニュアルモードに変わります。
6 秒以内にギアを切り換えないか、または強く加速されないと、再び自動制御に戻ります。

妥当性点検

「D」位置のセレクターレバーはシフトゲート「M/S」でしか倒せません。このためには EGS コントロールユニットが信号「シフトゲート M/S」と「ポジション D」を同時に検出することが必要です。

誤記、誤植が生じる可能性があるため、完全な一致を保証するものではありません、また将来予告なしに技術的変更が加えられることがあります。

トランスミッション セレクター スイッチ(セレクター レバー)