メーター パネル：内部テスト機能、サービス インターバル機能インディケーター(SIA)、コントロール ユニットの交換方法

メーター パネルには、自動進行テスト機能および手動テスト機能と、サービス業務のための諸機能も含まれます。

• チェック コントロールl 機能により車外照明灯のバルブ類が常にモニターされます。
  
• 走行前点検 により、重要な表示灯/警告灯が Kl.15 オン時に点検されます。
  
• テスト機能 により、診断テスターを使用せずにコーディング データを表示したり、トラブル シューティングを行うことが可能です。
  
• サービス インターバル インディケーター(SIA) (オイル サービスまたはインスペクションやタイム インスペクション)により、日付の表示とリセットができます。
  
• メーター パネル、ライト スイッチ センター(LSZ)の コントロール ユニットの交換 後はシャシー ナンバーを統一する必要があります。
  

テストや設定の際にはメーター パネルのすべての表示が利用できます。

• アナログ メーター
  
• 液晶ディスプレイ 1(速度表示で)
  
• 液晶ディスプレイ 2(シフト表示)
  
• 表示灯/警告灯：
  

機能は機能説明「メーター パネル：表示と機能」に記載されています。

コンポーネント簡略説明

K バス

ボディ電装のコントロール ユニットとメーター パネル間のデータ交換には K バスが利用されます。データ交換はデータ メッセージによって行われます。

PT CAN バス

エンジン エレクトロニクス、ダイナミック スタビリティ コントロール(DSC)、メーター パネル間のデータ交換にはパワー トレーン CAN バスが利用されます。データ交換はデータ メッセージによって行われます。

D バス

メーター パネルとテスター間のデータ交換には D バス診断バス)が利用されます。データ交換はデータ メッセージによって行われます。

BYTEFLIGHT

BYTEFLIGHT は、ゲートウェイとして機能するセーフティ インフォメーション モジュール(SIM)を通じて K バスに接続されています。このバス接続を通じてセンサー SBSL および SBSR のインフォメーションが伝送されます。

メーター パネル

メーター パネルには、コントロール ユニット、信号処理のためのスイッチ類、電源、操作および表示エレメントが内蔵されています。

メーター パネルには他のバス接続ユニットの主制御機能があり、ゲートウェイ モジュールとして PT CAN バス(パワー トレーン バス)、K バス(ボディ電装バス)、D バス(診断バス)を互いに接続しています。情報交換はデータ メッセージによって行われます。メーター パネルはこの他にセンサーからの信号も直接受け取ります。

コーディング データと不揮発性カウンター ステイタスはメーター パネルにメモリーされます。

左側の S/R(セット/リセット)キーと時計アイコン(右側)のキーの 2 つにより以下の設定が可能です：

S/R キー：

• トリップ メーターのリセット
  
• SIA リセット メニューの操作
  
• 時刻設定
  
• テスト機能の操作
  

時計アイコンのキー(右側)：

• 時刻設定モードの呼び出し
  
• SIA 残り期間表示時の SIA サービス日付表示
  

ステアリング コラム スイッチ(LSS)

ステアリング コラム スイッチ(LSS)にあるフラッシャー用の軸方向ボタンによりオンボード コンピューターの評価が行われます。他にこのボタンによってデジタル クロック/外気温度表示の選択が可能です。

ライト スイッチ センター(LSZ)

ライト スイッチ センター(LSZ)によりメーター パネル照明を切り替え、また、文字盤、メーター、ディスプレイ照明の輝度を調整することができます。インフォメーションはデータ メーッセージとして K バスを通じてメーター パネルに伝送されます。

メイン機能

チェック コントロール

ライト スイッチ センター(LSZ)が Kl.15 オン以上、車外照明灯のバルブ類をモニターします。ライト スイッチ センター(LSZ)がメッセージとしてバルブの故障を K バス経由でメーター パネルに知らせます。以下のバルブの故障時には、チェック コントロール警告灯(ランプの故障)が点灯します：

• ロー ビーム、ハイ ビーム、スモール ライト
  
• バックアップ ライト、ライセンス プレート ライト
  
• 左右ブレーキ ライト
  
• 左右リア フォグ ライト
  

故障を検知しやすくするために、ステイタスは診断やテスト機能を介して知ることができます。

走行前点検

走行前点検は重要な表示灯/警告灯をテストするためのものです。Kl.15 オン時には走行前点検により、以下の表示灯/警告灯が自動的に点灯します。

走行前点検が正常に終了すると、表示灯/警告灯がすべて消えます。

テスト機能

テスト機能は、診断テスターを使用せずにコーディングの点検やトラブル シューティングを行うためのものです。テスト機能は液晶ディスプレイ目盛範囲 1 の上の行(走行距離表示)に表示されます。オンボード コンピューター機能は下の行に引き続き表示されます。

ヒント： テスト機能は、Kl.R オンかつ Kl.15 オンで車両停止時にのみ行うことが可能です。

テスト機能は、

• Kl.R オンかつ Kl.15 オンで S/R キーを長く押す(5 秒以上)か、または
  
• S/R キーを Kl.R がオンになるのと同時に押すとオンになります。
  

テスト機能 1 と 2 には自由にアクセスできます。以下のテスト機能はロック解除後、テスト機能 19 を介してアクセスできます。テスト機能 19 では秒刻みで表示が L_on (Lock on =ロック)から L_oFF (Lock off =ロック解除)に変わります。

テスト機能のロック解除：

L_oFF (Lock off = ロック解除)が表示されているときに S/R キーを押します。表示がテスト機能 0 にジャンプします(テスト機能終了)。

テスト機能のロック：

L_on (Lock on =ロック解除)が表示されているときに S/R キーを押します。そうしないと、テスト機能はいつまでもテスト機能 19 にロックされたままです。

ヒント： テスト機能はイグニッション スイッチ操作後に常にロックされます。

テスト機能の終了：

テスト機能は、

• Kl.R をオフにするか、
  
• S/R キーを長く押すか、
  
• テスト機能 21 を呼び出すと終了します。
  

テスト機能表：

予備データ保存

現在のサービス インターバル インディケーターの日付と積算距離値はメーター パネルのコントロール ユニットにメモリーされています。それとともに、メーター パネル コントロール ユニットはこのデータを K バスを通じてライト スイッチ センター(LSZ)と電子式エンジン始動ロック システム(EWS)に周期的に送り、保存しています。保存されるのは、

• オドメーター 100 km ごと、
  
• 燃料消費 10 リッターごと、
  
• サービス インターバルの日付は毎日、
  
• Kl.15 がオンのとき(RDA ステイタス メッセージ)保存されます。
  

予備データ保存により、コントロール ユニット交換の際にも引き続きデータは保持されます。

電子式エンジン始動ロック システム(EWS)はこのデータを、新たなサービス アドバイザー コンセプト(キー リーダーと SAM 1)のためにイグニッション キーに伝達します。

電子式エンジン始動ロック システム(EWS)コントロール ユニットには、サービス関連データを保存するためのメモリー ロケーション(16 バイトごとに 12 ブロック)が用意されています。初めの 4 ブロックは以下のデータ用です：

• 走行距離
  
• サービス インターバル インディケーター
  
• シャシー ナンバー
  
• クッション コード
  
• カラー コード
  

Kl.R がオンのとき、キー コードの確認の後で初めの 4 ブロックがキー(トランスポンダー)に伝達されます。走行中に EWS 内のサービス インターバル インディケーターに関するデータが変更された場合、キーのデータも更新されます。キーの積算距離値は走行中 5 分ごとに更新されます。

キー リーダーとサービス アドバイザー モジュール 1(SAM 1)

サービス アドバイザーはキー リーダーにより車両のキーを読み出します。車両のキーを挿入すると、リーダー ユニットが直ちにメモリーされている車両データを検知します。このインフォメーションは車両モデルに応じて、サービス アドバイザー モジュール(SAM 1)を利用して画面表示されます。

サービス アドバイザー モジュール 1(SAM 1)は、キー リーダーによって読み出されたデータを自動的に解釈/表示し、予定表または受入れ開始表へ転送します。

SAM 1 画面 SIA IV では、連携システム(DMS)への引き渡しベースのみの転送が用意されています。以下のデータが SAM 1 画面 SIA IV に表示されます：

• キー バリエーション
  
• 読込み日時
  
• 実施時期(インスペクションまたはオイル サービス)
  
• サービスまでの残り距離(km 表示)
  
• 走行距離
  
• クッション コード
  
• カラー コード
  
• タイプ キー
  
• シャシー ナンバー
  

サービス インターバル インディケーター(SIA)

Kl.R オン以上で液晶ディスプレイが作動します。サービス インターバル インディケーター(SIA)が 5 秒間液晶ディスプレイの目盛範囲 1 にフェード インします。サービス インターバル インディケーター(SIA)は、オイル サービスまたはインスペクションやタイム インスペクション機能をそれぞれの実施時期とともに表示します。

サービス インターバル インディケーターが表示されると、オドメーター、トリップ メーター、ボード コンピューター機能はフェード アウトします。

外気温度が 3°C以下の場合(氷結警告)は、車両が走行を始めると直ちに表示されます。

残りの走行距離は 50 km(米国仕様では 25 マイル)ごとに表示されます。

距離インスペクション： 距離インスペクションの実施時期になると「オイル サービスとインスペクション」表示により示されます。距離インスペクションでは残りの走行距離が表示されます。残りの走行距離は次のメインテナンス期間まで実際に走行できるキロメートル数です。インスペクションのインターバルを過ぎると、その後に走った「残りの走行距離」はマイナス符号付きで表示されます。この場合、表示が点滅します。距離インスペクション(オイル サービスとインスペクション)の実施時期は、モデルに関連する平均燃費などから算出されます。これにより「オイル サービスとインスペクション」は一定の状況下では同じ時期に表示されます。

残りの走行距離表示中に時計アイコン キーを押すと、サービス インターバル インディケーターがタイム インスペクション表示に切り換わります。

タイム インスペクション： タイム インスペクション(ブレーキ液の交換)は、時計のアイコンと日付表示(コーディングされている、年と月を含むタイム インスペクション期日)によって表示されます。次のタイム インスペクション期日は時計アイコン キーを押すと 5 秒間表示されます。タイム インスペクションの実施時期には、残りの走行距離の他に時計アイコンが点灯します。「オイル サービスとインスペクション」表示はフェード アウトします。

時計アイコン キーを押すと、表示が再び切り換わります。

サービス インターバル インディケーターのリセット： 実行されていないサービスは、メーター パネルの SIA リセット メニューにより S/R キーでのみリセットすることが可能です。距離インスペクション(オイル サービスまたはインスペクション)とタイム インスペクションは、コーディングによって定められた最低燃料消費量と最低インターバル期間(期限)に達した後で個別にリセットできます。サービス カウンターからはサービス インターバル インディケーターのリセットに関する情報が得られます。

ヒント： 現在サービス カウンターは診断では利用できません。

距離インスペクションの S/R キー によるリセット：

1. イグニッション キー位置「0」(Kl.15 および Kl.R オフ)
   
2. S/R キーを押したままにします
   
3. イグニッション キーをポジション「1」に回します(Kl.R オン)
   表示：テスト機能
   
4. キーをさらに 5 秒以上押す(テスト機能のスキップ)
   表示：SIA サービス ステイタスは「オイル サービスまたはインスペクション」と残りの走行距離
   距離サービスは、コーディングされている 10 リッターの最低燃料消費量に達していてリセットが可能な場合は 「Reset」とともに 表示されます。
   こうすることで、リセット ミスで手順(オイル サービス、インスペクション)を間違った場合、消費量の 1/5 が加算されるのを待たずに、修正が可能になります。
   距離サービスは、コーディングされている最低燃料消費量に達していなくて リセットできない 場合は 「Reset」なしで 表示されます。
   
5. 「リセット」を行うにはキーを 5 秒以上押します。
   表示：サービス ステイタス 「Reset」 が 5 秒間点滅します
   
6. 点滅中に S/R キーを短時間押します。リセットが行われます。
   表示：新しい ステイタスが 5 秒間表示されます
   リセットしない場合は、S/R キーを押しません。5 回点滅した後に 古いステイタス が 5 秒間表示されます。
   
7. オイル サービスまたはインスペクションの プロセス の 後で タイム インスペクション の ステイタス が表示されます。
   
8. タイム インスペクションがコーディングされていない 場合は、End SIA が 2 秒間表示されます。
   

タイム インスペクションのリセット：

ヒント：

• タイム インスペクション の リセット 手順は 距離インスペクション を 介して 行われます。
  
• タイム インスペクションの各リセット間には 20 日(コーディング可能)が必要です。
  
• タイム インスペクションは、オイル サービスやインスペクションが行われていない場合、180 日まで早めることが可能です。これによりサービス作業をまとめて行うことができます。
  

1. コーディングされているタイム インスペクション では、サービス ステイタスが表示されます。
   タイム インスペクションはコーディングされている 期限に達した 場合には、 「Reset」とともに 表示されます。
   
2. 「リセット」を行うには、S/R キーを 5 秒以上押します。
   表示：サービス ステイタスが点滅します。
   
3. 点滅中に S/R キーを短時間押します。リセットが行われます。
   表示：新しい期日 が 5 秒間表示されます。
   リセットしない場合は S/R キーを押しません。5 回点滅した後に 古い期日 が 5 秒間表示されます。その後
   表示：2 秒間 End SIA
   
4. リセットする 期限 が 来ていない場合は S/R キーを短時間押します。
   表示：2 秒間 End SIA
   

メーター パネルの交換

メーター パネルの機能範囲は、不揮発性データ メモリーに記憶されているコーディング データにより決定されます。コーディング データは電源供給を外しても消滅しません。メーター パネルを交換する際には、交換に至った原因次第で異なった処置を行う必要があります。以下の 4 ケースについて説明します。

状況 1：メーター パネルのコントロール ユニットが故障、ライト スイッチ センター(LSZ)のコントロール ユニットは正常。

状況 2：メーター パネルのコントロール ユニットは正常、ライト スイッチ センター(LSZ)のコントロール ユニットが故障。

状況 3：メーター パネルのコントロール ユニットとライト スイッチ センター(LSZ)のコントロール ユニットを同時に交換しなければならない。

ヒント：

• 緊急の場合にだけ、コントロール ユニットを同時に交換します(記憶されている総走行距離値が、消滅するおそれがあります)。
  
• バッテリーのターミナル接続を外すこと!
  

状況 4：メーター パネルのコントロール ユニットまたはライト スイッチ センター(LSZ)のコントロール ユニットを試験的に交換する

ヒント：2 つのコントロール ユニットのうち片方を試験的に交換することは原理的には可能ですが、できるだけ行わないでください。

ヒント： メーター パネルとライト スイッチ センター(LSZ)を同時に交換するのは避けてください。それまでの総走行距離値が失われます。

カー メモリーおよびキー メモリー

カー メモリー機能の表示：

サービスのためのヒント：

• メーター パネルを交換したときは、積算距離値がライト スイッチ センター(LSZ)から逆に読み出され、積算距離値の元データが再生されます。
  ヒント： この機能は < 255 km の新部品のみで可能です。
  

• 以下の機能については機能説明「メーター パネル」参照：表示および機能
  - 予備データ保存
  - メーター パネルの輝度調整
  

国別仕様

米国、カナダ、日本仕様車では SIA には残りの走行距離のみ表示されます。タイム インスペクションはコーディング オフされていて、時計アイコンは現れません。

診断

E85 では診断コミュニケーション用に DS2(診断インターフェース 2)が診断言語として導入されます。診断に KWP2000(キー ワード プロトコル 2000)を利用するコントロール ユニットも使用することができるように、E85 は KWP2000* を備えています。

KWP2000 は自動車産業界で基準化された診断用プロトコルです。

KWP2000* では KWP2000 は DS2 のダイアグラムに内蔵されています。