シート ベルト フィーダー

シート ベルト フィーダー

クーペではドアが大きく、B ピラーが後方にあるため、セダンよりもシート ベルトに手が届きにくく、
装着するときに無理な姿勢が必要なことがあります。米国ではこのことが顧客の不評を招いているという調査結果があります。

BMW では E92 にシート ベルト フィーダーを標準装備しました。
そのため、シートベルトが容易に引き出せるようになっています。

助手席側のシート ベルト フィーダーは、助手席に乗員がいる場合のみ作動します。
この機能は競争上の利点の一つです。

コンポーネント簡略説明

シート ベルト フィーダーの下記のコンポーネントを説明します。

シート ベルト フィーダー

シート ベルト フィーダーは収納された状態では外から見えず、サイド パネル内に入っており、インテリア デザインの調和を乱すことがありません。シート ベルト フィーダーは次の構成部品から成っています。

GR_FB5206001

インデックス

説明

インデックス

説明

1

シート ベルト フィーダーのアーム

2

ホルダー

3

駆動系とギア ユニット

4

ホルダー

シート ベルト フィーダーは最大 350 mm 引き出すことができます。出し入れに要する時間は 2 秒以下です。

シート ベルト フィーダー コントローラー

シート ベルト フィーダー コントローラーはシート ベルト フィーダーの駆動系を制御します。駆動系の位置は、駆動系内のホール センサーで検知されます。
引き出した状態のシート ベルト フィーダーの最終位置は別のホール センサーで検知され、コントローラーに通知されます。
両信号ともコントローラーから LIN バスを経てフット スペース モジュール(FRM)に到達します。

GR_FB5206002

インデックス

説明

インデックス

説明

1

フット スペース モジュール(FRM)

2

シート ベルト フィーダー コントローラー

3

ホール センサー付き駆動系および最終位置用ホール センサー

4

ジャンクション ボックス コントロール ユニット(JBE)

5

ホール センサー付き駆動系および最終位置用ホール センサー

6

シート ベルト フィーダー コントローラー

LIN

ローカル相互接続ネットワーク(LIN)バス

Kl.30g

Kl.30 スイッチ制御

Kl. 31

Kl.31

 

 


シート ベルト キャッチ コンタクト

フロント シート ベルト キャッチ コンタクトは、シート ベルトがベルト ロックに送入されているかどうかを認識します。この信号はマルチ レストレイント システム(MRS)に送られます。

シート着座センサー

助手席側のシート着座センサーは、助手席に人が着座しているかどうかを認識します。シート着座センサーの電源は、CAS から Kl.R を介して供給されます。

シート ベルト フィーダーには、次のコントロール ユニットが関与します。

FRM:フット スペース モジュール

フット スペース モジュール(FRM)は運転席側および助手席側のシート ベルト フィーダー コントローラーを制御します。シート ベルト フィーダー コントローラーは、LIN バスを介してフット スペース モジュールに接続されています。フット スペース モジュールは、制御のためのソフトウェアを搭載しています。

MRS:マルチ レストレイント システム

マルチ レストレイント システム(MRS)には、運転席側および助手席側のシート ベルト キャッチ コンタクトが接続されています。MRS コントロール ユニットは、ボディ CAN によって FRM と接続されており、シート ベルト キャッチ コンタクトからの信号を転送します。

CAS:カー アクセス システム

カー アクセス システム(CAS)は、ターミナル コントロールにおける主制御コントロール ユニットで、
ターミナル ステイタスをバスに送り出し、
また助手席側のシート着座センサーに Kl.R の信号を伝送します。

JBE:ジャンクション ボックス コントロール ユニットのパワー ディストリビューション

パワー ディストリビューションは、ジャンクション ボックス コントロール ユニットと共に、ジャンクション ボックスを構成しています。パワー ディストリビューションは、Kl.30g を介してシート ベルト フィーダー コントローラーに電圧を供給します。

システム機能

シート ベルト フィーダーの下記のシステム機能について説明します。

シート ベルト フィーダー引き出し機能のロジック


運転席側のシート ベルト フィーダーは、次の機能ロジックによって引き出されます。

アウトプット ステイタス

手順

機能

Kl.30、運転席ドア閉、シート ベルト キャッチ コンタクト開、シート ベルト フィーダー収納、最後のロック解除以後に運転席ドアの切換を実行、コンフォート アクセスの場合は 識別センサーが車内にあり、

ターミナルを 30 から R へ切換

運転席側シート ベルト フィーダー取り出し

ターミナルを R から 15 へ切換

ターミナル R または 15、運転席ドア開、シート ベルト キャッチ コンタクト開、シート ベルト フィーダー引き出し、コンフォート アクセスの場合は識別センサーが車内にあり、

運転席ドアを閉じる

運転席側シート ベルト フィーダー引き出し


助手席側シート ベルト フィーダーは次の機能ロジックで引き出されます。

アウトプット ステイタス

手順

機能

Kl. 30、助手席ドア閉、シート ベルト キャッチ コンタクト開、シート ベルト フィーダー収納、最後のロック解除以後に助手席ドアの信号切換を実行、コンフォート アクセスの場合は 識別センサーが車内にあり、

ターミナルを 30 から R へ切換

助手席側シート ベルト フィーダー取り出し

Kl.R、助手席ドア閉、シート ベルト キャッチ コンタクト開、シート ベルト フィーダー収納、最後のロック解除以後に助手席ドアの信号切換を実行、助手席への着座検出または Kl.R オン後 10 秒以内、コンフォート アクセスの場合は識別センサーが車内にあり、

ターミナルを R から 15 へ切換

助手席側シート ベルト フィーダー取り出し

Kl.R または15、助手席ドア開、シート ベルト キャッチ コンタクト開、シート ベルト フィーダー収納、最後のロック解除以後に助手席ドアの信号切換を実行、シートへの着座検出または Kl.R オン後 10 秒以内、コンフォート アクセスの場合は 識別センサーが車内にあり、

ドアを閉じる

助手席側シート ベルト フィーダー取り出し


シート ベルト フィーダー収納機能のロジック

運転席側および助手席側シート ベルト フィーダーは下記の機能ロジックにより収納されます。

アウトプット ステイタス

手順

機能

シート ベルト フィーダー取り出し、ドア閉

シート ベルト キャッチ コンタクトを閉じる

シート ベルト フィーダー収納

車速 7 km/h 超

シート ベルト フィーダーが取り出し位置に 60 秒以上

ドアを開く

機械的ロック

シート ベルト フィーダー取り出し、ドア閉、Kl.R

ターミナルを R から 30 へ切換

シート ベルト フィーダー収納

助手席側シート ベルト フィーダーは更に次の機能ロジックによっても収納されます。

アウトプット ステイタス

手順

機能

シート ベルト フィーダー引き出し、ドア閉、Kl.R または 15、シート未使用

Kl.R オン以後 10 秒

助手席側シート ベルト フィーダー収納、助手席ドアの信号切換消去


アンチ ブロック機能、過熱保護機能

引き出し時のアンチ ブロック機能のため、シート ベルト フィーダーは障害があったとき約 20 mm 逆作動します。駆動系のホール センサーがシート ベルト フィーダーのブロックを検知します。
また同じくアンチ ブロック機能のため、シート ベルト フィーダーの前部が収納の際に機械的に折り畳まれます。

シート ベルト フィーダーの駆動系には過熱保護の機能があります。駆動系を数回操作すると、過熱保護機能が有効になります。

過大および過小電圧検知

電圧は 16 V 以上では過大、
9 V 以下では過小と判定されます。
いずれの場合もシート ベルト フィーダーの制御は行われません。

サービスに関する注意事項:

一般注意事項

注意事項:シート ベルト フィーダー収納の際のアンチ ブロック機能!

アンチ ブロック機能のため、シート ベルト フィーダーの前部が収納の際に機械的に折り畳まれます。これは不具合ではありません。

注意事項:シート ベルト フィーダー コントローラーの 2 つのグラウンド接続!

取付け箇所を区別するため、助手席側のシート ベルト フィーダー コントローラーには追加のコーディング ピンが存在します。コーディング ピン付近に Kl.31 があります。

国別仕様

米国仕様

米国仕様車では助手席側のマットが、シート着座センサーに代わるマルチ レストレイント システム(MRS)に接続されています。

誤記、誤植が生じる可能性があるため、完全な一致を保証するものではありません、また将来予告なしに技術的変更が加えられることがあります。